貴金属市場の動向

2019年1月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 マーケティングセクション 今村 卓二

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 1月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,287.20 ドルでスタートした1 月のドル建て金相場は、弱い米経済指標の結果を受けドルが主要通貨に対して値を落とすと一時1,300 ドル近辺まで急騰。4 日発表の米12 月雇用統計では雇用者と賃金の伸びが示され、景気減速懸念の後退からドルが反発し月間最安値と同レベルの1,280 ドル近辺まで急落。しかし、その後はFRB 議長が講演でこれまでの政策を柔軟に見直すとの考えを示し、米利上げ観測が後退する中で1,290 ドル台中盤まで買い戻された後、米中通商協議の方向性に対する楽観的な見方も広がり、米国株及びドルの上昇から1,280 ドル台半ばまで反落した。9 日発表の米12 月FOMC 議事要旨では追加利上げに対する慎重姿勢が示されたことでドルが大きく売り込まれると1,300 ドル近辺まで上値を伸ばした。その後は方向感無く小動きとなり、1,290 ドル台半ばを挟んでレンジ相場を形成。米国が対中関税を引き下げる措置を検討との報道により、貿易摩擦解消への期待感からドルが押し上げられ、21 日には月間最安値の1,278.70 ドルまで急落。
 しかし、その後は昨年末から続く米政府機関の封鎖、出口の見えない米中通商問題などを背景に1,280 ドル近辺で買い支えられると、米FOMC を前に米国の利上げペースの鈍化が意識される中で急騰し1,300 ドルを突破。同会合では政策が据え置かれたものの、米中の貿易対立、英国のEU離脱を巡る動きを受けて徐々に下値を切り上げると、31 日には月間最高値の1,323.25 ドルまで値を伸ばして終了。
今後の見通し
 昨年、米FRB は段階的な利上げペースを維持してきたものの、年末にかけて米国経済に減速感が散見される中、昨年末には株価の大幅調整が入るなど米国経済減速が現実味を帯びており、本年は米FRB の金融政策は利上げ停止含め大きく転換される可能性も視野に入っている。今後も米中貿易戦争の長期化、地政学的・政治的要因を背景に金への資金流入は続くと考えられる。

プラチナ市場の動向 1月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 796 ドルでスタートした1 月のドル建てプラチナ相場は、同日ロンドン時間午後に月間最安値の785 ドルまで下落。しかし、米12 月雇用統計が労働市場の強さを示す内容だったことで、景気後退への懸念が一服したことから米国株が大きく反応。これが材料視され800 ドルを上抜け、7 日には月間最高値の829 ドルまで急騰。
 その後は820 ドルから830 ドル近辺で方向感に乏しい展開が続いたが、14 日に発表された中国12 月貿易統計は市場予想を大きく下回る結果となり、米中貿易戦争の影響を受けた景気減速への懸念から800 ドルを下抜け、790 ドル近辺まで下げ足を強めた。
 月末にかけては、好調な米企業決算を受けて米国株が続伸したことや、底堅く推移する金相場に追随する形で堅調地合いへと転換すると、800 ドル台を回復。30日の米FOMC 声明では、米国経済の先行き見通しを巡る不確実性に言及。今後の政策判断について柔軟に対応する考えが示されたことからドルが弱含み、月末31日には821 ドルまで反発して終了。
今後の見通し
 プラチナ価格は、悲観的な見方が支配的。宝飾需要の大半を占める中国市場は依然と低迷、欧州ではディーゼル車離れによるプラチナ需要への悲観的な見通しが続く中、総じて当面は積極的な買いが手控えられるだろう。但し、南アでは本年6月に期限を迎える労使協定を前に労使交渉が控えており、供給に関わる突発的な事象には警戒しておきたい。



為替市場の動向 1月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 2019 年1 月の為替相場は昨年末の円高基調を引き継ぎ、米通信機器大手の販売不振をきっかけに急激な円高が到来すると本邦祝日で市場流動性が低下する中、ストップロスを巻き込んで104 円台まで急落してスタートも一巡後は107 円台まで回復。4 日には米12 月雇用統計が発表され、市場予想通り非農業部門の雇用者数、賃金の伸びが確認されたことから米FRB 議長が段階的な利上げを大幅に見直しする可能性について言及したことから108 円半ばまで上昇。その後は米中通商協議を前にした期待感や追加利上げに慎重なFRB 高官の発言はあったものの、月の半ばまで概ね107 円台後半から109 円台前半のレンジ相場で推移。その後は、17日の対中関税の一部緩和の報道や翌18 日の中国の対米黒字解消に向けた取り組みについての報道等から米国株が上昇する中、ドル円も総じて堅調な値動きとなり、21 日にかけて109.67 円まで上昇すると、25 日には昨年12 月から35 日間に及んだ米国連邦政府機関の一部閉鎖が解除される見通しとなったことから月間最高値の109.77 円まで続伸。30 日の米FOMC では政策金利は据え置かれたものの、同声明で米国経済の先行き見通しを巡る不確実性と今後の政策判断への対応について言及。これを受けてドル売りが優勢となると月末31 日には108.96 円まで下落して終了。
今後の見通し
 米FRB が今後の金融政策に柔軟な対応を示したことで今後の利上げ抑制や保有資産縮小停止が意識されドル高の勢いに欠く。当面緩やかなドル安・円高基調を予想する。

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