DAILY 市況解説NY市場を中心に市場動向・トピックをお伝えします。


※登録いただいたメールアドレスは情報配信以外には利用しません。

「トランプ政治リスクの高まりに
ドル安が重なり金は5営業日続伸」

2017/07/21
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「トランプ政治リスクの高まりにドル安が重なり金は5営業日続伸」(2017年7月21日記)

7月20日のNY市場の金価格は、続伸となった。20日の金市場は、アジアの時間帯からロンドンそしてNYの早朝にかけて、大勢的には売りが先行する形で進行することになった。しかし、NYの時間帯に入って以降、トランプ政権をめぐる政治リスク、いわゆる「ロシア・ゲート」に関連する報道や、ドラギ欧州中銀(ECB)総裁発言に対し、ドル安ユーロ高が急激に進んだことから、一転買いが先行する流れとなり1240ドル台半ばでの終了となった。NYコメックスの通常取引は、前日比3.50ドル高の1245.50ドルで終了した。これで5営業日続伸となる。

アジアの時間帯のイベントとしては日銀の金融政策決定会合があったものの、政策変更ナシは織り込み済みで無風が予想されていたことからそのまま通過。むしろこの日市場が意識していたのはロンドンの時間帯でのECBの政策理事会だった。ECBは現在、毎月600億ユーロ(約7兆8000億円)の資産購入を実施しているが、ここまで声明文には物価見通しが悪化するようならば、「規模や期間を拡大する用意がある」と表記してきた。ユーロ圏の景気回復も軌道に乗ったと見られる中で、金融正常化に向けて動き出すにあたり、まず今回はこの文言を削除するのではとの見方があった。その先にあるのは、資産購入の縮小から終了であり、金利には上昇圧力がかかり、ドル安ユーロ高が想定される流れでもある。

実際に、こうした方針が示唆された6月27日のECB年次フォーラム以降、ユーロドルは上昇傾向を強め、前日の1.118ドルから今週に入ってからは1.15ドル台に乗せる(ドル安)ユーロ高になっていた。

こうした市場の見方に対して発表された内容は、政策変更はナシ、緩和バイアスを意味する文言の削除もなかった。つまり、やや引き締め方向を示唆するものを想定していた市場にとっては肩透かしの内容で、この段階でユーロは1.15台から1.14台に急落しドルは反発となった。金も1240ドル割れに。しかし、その後ドラギ総裁の記者会見が始まり、内容的jにはこれまでのハト派的スタンスを感じさせるものの、随所にユーロ圏の回復に自信を示す発言が混じったこと。さらに時期の特定はないものの、この秋に(買取り縮小を意味する)政策変更について討議する方針を示しことから、ドル売りユーロ買いが復活し、ユーロは一気に1.16ドル台に入り2015年8月以来の高値水準に上昇となった。

この流れと並行して、米国ではブルームバーグが、ロシア・ゲートに関連して、モラー特別検察官がトランプ大統領のビジネスにも捜査範囲を拡大すると伝えたことも金価格をサポートすることになった。ロシア・ゲートに関しては、来週、トランプ大統領の息子のドナルド・トランプJr、娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問がこの件で議会証言をする予定となっている。
PAGE TOPへ