DAILY 市況解説NY市場を中心に市場動向・トピックをお伝えします。


※登録いただいたメールアドレスは情報配信以外には利用しません。

「金は反発、終値ベースで静かに
6年2カ月ぶりの戻り高値を更新」

2019/07/18
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「金は反発、終値ベースで静かに6年2カ月ぶりの戻り高値を更新」(2019年7月18日記)

7月17日のNY市場の金価格は反発となった。NY時間外のアジアからロンドンの時間帯は1405ドル前後の横ばいで静かに推移。どちらかというと売り優勢の展開となっていた。ところがNYの通常取引入り後に流れは変わることになった。発表された経済指標が予想を下回り、貨物輸送関連企業が業績見通しを下方修正したことで関連株が大幅安となったり、ドルが割高に評価されているとした国際通貨基金(IMF)の年次レポートの公表などを受け、金市場は静かに水準を切り上げながら進行した。この流れは予想外の強さを見せ、売りをこなしながら1410ドル、1415ドルと節目を突破しNY時間のお昼には1420ドル台乗せに。そのまま水準を維持して終了となった。通常取引は前日比12.10ドル高の1423.30ドルで終了となった。その後の時間外取引では1428.20ドルと高値を見ている。終値ベースで7月3日の水準を超え、2013年5月14日以来となる戻り高値の更新となった。高値の更新が静かに進んでいるのが今回の上昇相場の特徴と言える。

金価格を押し上げた複合要因を挙げると以下のようになる。

まず午前早くに発表された6月の米住宅着工件数。(年率換算)前月比0.9%減の125.3万戸となり予想(126.1万戸)も下回った。2カ月連続の落ち込み。ただ内容的にはサプライズの要素なく、むしろ同時に発表された先行指標となる6月の住宅着工許可件数が前月比6.1%の減少で約2年ぶりの低水準となったことが目についた。

この日は主要3指数ともに下落となった米国株式。米鉄道貨物輸送大手CSXが第2四半期決算を発表、利益が予想を下回ったことに加え、通年の売上高予想を下方修正したことが地合いを悪くした(センチメントが悪化)。CSXのような貨物輸送企業の業績見通しは、いわゆる「炭鉱のカナリア」で、先行きの景気見通しの手掛かりになってきた経緯がある。市場は貿易摩擦激化の影響を読み取り、警戒感を強めることになった。CSX株は1日で10.3%下落し、1日としては2008年以来の大幅な下げとなった。つまりリーマンショック時以来の下げに。同業のユニオン・パシフィックも6.1%の大幅安となるなど関連株は軒並み売られることに。

もう一つはIMFが年次報告(「対外部門の安定性に関する報告書」)にて、短期のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に基づきドルは6-12%過大評価されているとしたこと。各国による最近の貿易政策については、世界貿易を阻害し、信頼感の低下、投資の減退を招いているとしている。

これら指標やニュースから17日の市場は株安、金利低下、ドル安のリスクオフの相場で金が押し上げられることになった。発表された地区連銀景況報告(ベージュブック)は目立った変化なく、材料性は乏しかった。なお、銀価格が一時16ドル台に乗せ終値ベースでも今年2月20日以来の高値水準まで戻りを見せている。長らく音なしの構えだったが、今週に入り銀ETFへの資金流入が見られており、遅まきながら投資マネーの矛先が銀市場にも広がっている。
金に比べ値動きの大きいことで知られる。
PAGE TOPへ