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「利下げより利上げに高いハードル、FOMCを挟み金は上昇」

2019/12/12
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「利下げより利上げに高いハードル、FOMCを挟み金は上昇」
(2019年12月12日記)

注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場予想に沿った内容で決着。政策金利(フェデラルファンド金利の誘導目標)を1.50~1.75%に据え置くことが全会一致で決定した。ここまで3会合連続で複数の反対者がいたが、投票権を持つメンバー10人全員が据え置きに賛成票を投じた。全会一致は4月30‐5月1日の会合以来のこと。

会合後に発表した声明文では、「現行の金融政策の運営姿勢が、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の状況、委員会の対称的な目標である2%に近いインフレ率を支えるために適切だと判断する」とし、前回10月の声明文にあった「この見通しに対する不透明感は残る」とした部分は削除された。景気判断を引き上げたことになる。当面の利下げの可能性は遠のいたことを意味する。その一方で、先行きについては「海外の動向や抑制されたインフレ圧力など、今後の経済データを注視していく」とした。

総じて来年の米大統領選まで緩やかな経済成長が続き、失業も低水準にとどまるとの見方を示し、金利が現行水準にとどまる公算が大きいことを示した。この見通し通りならば、11月末に向けて米国株式市場が過去最高値を更新したことに象徴される金融経済環境を意味する「ゴルディロックス(適温経済)」が継続する見通しとなる。

米連邦準備理事会(FRB)が今回新たに公表したFRB当局者の金利・経済見通し(ドット・プロット)では、今回のFOMCメンバー17人中13人が少なくとも2021年まで金利変更はないとの見通しを表明。4人が来年に1回の利上げが実施されるとの見方を示した。来年は利下げが適切となるとの見方を示したメンバーはいなかった。 これまでメンバー間の見解の相違が問題視されてきたが、今回は見事に見通しがそろっている。政策金利の見通しを図で示すドット・プロットは上下に幅のないフラットなものになった。「平穏」という印象で、リスク・ファクターが一気に後退したわけではないと思われるが、今回のFOMCが与える印象はそう表現せざるを得ない内容と思う。

声明文が発表されたのが現地時間の午後2時。その段階で前日比6.90ドル高の1475.00ドルで通常取引を終えていた金は、声明文の発表とパウエル議長の記者会見を受けて上昇で反応。一時は1483.50ドルまで上値を見た後に1480ドルをやや下回る水準を横ばいで推移。そのまま12日のアジアの時間帯の取引に引き継がれた。利下げは当面見送られるものの、利上げについてはパウエル議長も記者会見にてインフレの鈍さに警戒感を示すなど、ハードルの高さを示唆したことが、金市場では好感されたとみられる。
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