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「FOMC待ちの中NY金は反発、ETF残高増続く」

2024/03/19
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「FOMC待ちの中NY金は反発、ETF残高増続く」(2024年3月19日記)

週明け3月18日のNY市場の金価格は3営業日ぶりの反発となった。NYコメックスの通常取引は前週末比2.80ドル高の2164.30ドルで終了した。NY時間外のアジアの午後からロンドンの早朝にかけて一時2150ドル割れを見たが、押し目買いにすぐに浮上。NYの通常取引の時間帯にプラス圏に浮上し、終盤まで前週末の終値近辺での取引となった。

主要な経済指標の発表もなく、19~20日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え様子見ムードの中で、反発となった。15日に金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」に大口の買いが入り1日で14.98トンもの残高増が見られたが、現物に紐づけられたETFだけに、金市場の強気センチメントをサポートしたものとみられる。同銘柄の残高は週明け18日にも1.48トンの増加がみられた。

米連邦準備理事会(FRB)が今回、政策金利を据え置くことはフルに織り込まれており、FOMCメンバーによる政策金利見通しとパウエル議長の記者会見に関心が向けられている。前週発表の米国の物価指標が相次いでインフレ圧力の根強さを示したことで、年内の利下げ回数が減るのではとの見方が広がっている。

実際に18日は、ゴールドマン・サックスのエコノミストグループは、24年の利下げ見通しをこれまでの0.25ポイントずつで計4回の予想を3回に引き下げた。ただし最初の利下げについては引き続き6月を予想している。25年は4回、26年は最後の1回の利下げを行うとしている。その上で最終的な水準は3.25~3.50%としている。FOMCの結果は日本時間明後日21日午前3時に声明文が発表され3時30分から議長記者会見が始まる予定。

こうした見通しの修正に影響されたものか、債券市場は6日続落となり利回りは上昇。指標となる10年債利回りは一時4.351%と2月23日以来の水準まで上昇。引けは4.334%だった。金利見通しの変化に反応しやすい2年債も一時4.757%と2月23日以来の水準を付けた。債券市場では年内の米利下げ観測が後退を続け6月利下げの確率が50%を割り込んでいる。一方、ドルは小幅高でドル指数は103ポイント台半ばで推移した。

こうした中でにわかに起きた金ETFへの資金流入だが、過去最高値圏という水準かつ見通しの不透明な中での動きだけに、背景が見えにくく、まずは持続性を見ようというところか。

なお、本日最終日の日銀の金融政策決定会合だが、広く報じられているようにマイナス金利解除や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)撤廃を決めるとみられている。記者会見にて植田総裁が今後の見通しをどう示すかに関心が集まっている。当初、3月6日に時事通信社が今回の政策変更の可能性を報じ、それが現実のものになりそうだが、一定の時間を経過したことで為替市場では織り込みが進んでいるとみられる。
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