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「金は昨年4月以来の高値水準に浮上するも
終盤に上げ幅を削り終了」

2019/06/17
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「金は昨年4月以来の高値水準に浮上するも終盤に上げ幅を削り終了」
(2019年6月17日記)

週末6月14日のNY市場の金価格は小幅に続伸となり4営業日連騰で取引を終えることになった。週初め以降に発表された米物価関連の指標が軒並み低水準となり、低インフレ傾向が顕著になったことから、連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まったことが、基本的に金価格をサポートした。そこに13日に発生したオマーン湾でのタンカー攻撃事件による地政学リスクの高まりが加わり、NY金は前週末に一時1350ドル台乗せで年初来高値を更新していたが、14日アジアの時間帯にこの高値を上抜くことになった。日本時間の午前11時に発表された5月の中国の工業生産指数が17年ぶりの低い伸びとなったことで、世界経済の減速をイメージさせ利下げ観測をさらに後押しすることになったことによる。1350ドル超の節目を突破し年初来高値を更新した金価格は、テクニカル的にも勢いのついた状態でアジア時間の午後(ロンドンの早朝)の時間帯に1362.20ドルと昨年4月以来の高値を付けることになった。

この日注目されていたのは、NYの通常取引入り後に発表予定の5月の米小売売上高だった。1-3月期は低調な結果に終わり、国内総生産(GDP)の6割強を占める個人消費の動向に懸念が広がっていた経緯がある。5月の結果は全体が前月比0.5%増となった。0.6%増を読んでいた市場予想を下回ったが、4月の数字が当初発表の0.2%減から0.3%増に大きく上方修正されたことが好感された。前年同月比で見て5月は3.2%増となり、減速が懸念された個人消費が勢いを取り戻していることが示唆された。自動車とガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比0.5%増。前月の数字は当初発表の横ばいから0.4%増に上方修正された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされ、個人消費が4-6月期に急回復していることを示唆する。

この内容を受け為替市場はドル買い、ユーロ売りが進行することになった。その結果、主要6通貨に対するドル指数(DXY)は97.45に上昇。手元の資料では6月3日以来約2週間ぶりの水準となる。今年に入りドル建て金価格とドル指数の逆相関性は、やや落ちてきているが、それでもDXYの上昇は金の売り要因となる。これ以降、売りが先行する流れに転じた金市場は、それでもお昼過ぎまでは1350ドル台で推移。終盤にかけて、ややまとまった売りが出て急速に上げ幅を縮小することになった。NYコメックスの通常取引は、前日比0.80ドル高の1344.50ドルで終了した。取引時間中(ザラバ)の高値は冒頭で触れたように1362.20ドルで年初来高値の更新となったが、昨年4月11日の1369.40ドルは超えていない。過去3年にわたり1360ドル台が上値の節目になっており、直近高値は英国の国民投票にて欧州連合(EU)からの離脱が決まったサプライズを受けた直後の2016年7月に付けた1377.50ドルとなっている。

※筆者が海外出張のため18、19日の更新、配信は休ませていただきます。
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