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「好調な民間雇用データを受け続落。
一時2ヵ月ぶりの1310ドル割れ」

2016/09/01
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「好調な民間雇用データを受け続落。一時2ヵ月ぶりの1310ドル割れ」(2016年9月1日記)

8月最終日31日のNY市場の金価格は、続落となった。NYコメックスの通常取引は前日比5.10ドル安の1311.40ドルで終了した。NYの通常取引開始前に発表された8月の米民間雇用データの結果が良く、利上げ観測を後押ししたことで、前日に続きファンドの手仕舞い売りが続くことになった。終値は6月23日以来約2ヵ月ぶりの低水準で安値は1306.90ドルまで見たものの、心理的な節目となる1300ドルは維持した。これで8月は月間ベース(月足)でみて下げとなった。

31日に市場が注目したのは、企業向け給与計算などを手掛ける雇用サービス会社オートマチック・データ・プロセシング(ADP)が中心となってまとめる全米民間雇用報告の8月の結果だった。民間部門雇用者数は前月比で17万7000人増と予想の17万5000人をやや上回る結果となった。また7月分は当初の17万9000人増から19万4000人増に上方修正された。労働市場が引き続き好調に推移していることを表し、2日に発表される米労働省調査の雇用統計の結果も好調が期待できるとして、冒頭に触れたように利上げ観測を後押しすることになった。

31日の金市場は、アジアやロンドンの取引時間帯は1310ドル台半ばを中心に横ばいで推移していたが、ADPの結果発表を受けて急落。その際に付けたのが、この日の安値となる1306.90ドルだった。ただし、売りが一巡すると反発に転じ、そのまま1300ドル割れを探るような展開には至らなかった。

なお、ADPによるデータは、必ずしも労働省の発表する結果と整合性があるわけではなく、ADPの数字とかけ離れた結果が出ることがある。ちなみに6月2日に発表された5月のADPのデータは、17万3000人増で市場予想と一致するものだった。その2日後に発表された労働省の非農業部門就業者増加数(NFP)は、わずかに3万8000人増でサプライズになったのは記憶に新しい(ちなみにこの数字は後に下方修正され2万4000人増となっている)。

つまりこうした例があることから、ADPの数字そのままに雇用統計のNFPに当てはめることに難がある。おまけに8月は夏休み中ということでイレギュラーな数字が出ることが多く要注意の月といえるだけになお更だ。

なお、31日もFRB関係者の発言が伝えられている。シカゴ連銀のエバンス総裁は、講演で「高齢化などを背景に世界経済の成長力は衰えているとして、景気を悪化させる恐れのある金利引き上げには慎重であるべき」とした。ちなみにハト派で知られるメンバーで、今年はFOMCの投票権は持っていない。
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