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「ドイツ銀問題に端を発するリスクオフで
NY株急落の中、金は小幅反発」

2016/09/30
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「ドイツ銀問題に端を発するリスクオフでNY株急落の中、金は小幅反発」
(2016年9月30日記)

9月29日のNY市場の金価格は3営業日ぶりの反発となった。NY市場の午前の時間帯に一時1318.60ドルと1週間ぶりの安値まで売られたが、後半はNY株式が金融株を中心に大きく売られたことから、リスク回避的な買い戻しの動きが見られプラス圏に浮上して終了した。NYコメックスの通常取引は、前日比2.30ドル安の1326.00ドルで終了した。

この日発表された米国関連の指標は、まちまちの結果となった。まず4-6月期GDP(国内総生産)の確定値は前期比年率1.4%増と改定値の1.1%増から上方修正され予想値(1.3%増)も上回った。注目点は、ここまで成長の足を引っ張るかたちになってきた企業投資だった。結果は改定値の0.9%減から1.0%増とプラス転換となった。増加は昨年の7-9月期以来では初めてとなる。原油価格の下落の中で石油産業を中心にみられた投資の削減が最悪期を脱したとの見方が生まれている。

さらに同じ時間帯に発表された先週の失業保険新規申請件数は、25万4000件と予想の26万件を下回り、引き続き雇用の拡大を意味する30万件割れが続いていることが確認された。
一方、8月の中古住宅販売件数は前月比2.4%減と市場予想の横ばい(0.0%)より弱い結果となった。また前月の数字も下方修正された。

こうした結果を受けた市場では、NY時間の午前中は長期金利の上昇の中でドルが堅調に推移、その際に金市場では売りが膨らみ1320ドル割れまで下値をみることになった。ところが午後に入り、ここ数日話題を集める欧州銀大手のドイツ銀行の財務不安が再燃することになった。ブルームバーグが29日、ドイツ銀行とデリバティブ取引に関連し清算業務を委託しているファンドの一部が預けている余剰資金を引き揚げ、取引の解消に向かっていると報じたことから、同行への懸念が再び高まることになった。ドイツでは来年、連邦議会選挙を控えることから、国内世論に不人気な銀行救済に政府が向かいにくいとの憶測も手伝い、懸念をさらに高めたようだ。ドイツ銀株は最安値を更新した。

またこの日、金融危機時に支援を受けた同じドイツの大手コメルツ銀行が、正社員の2割以上となる9600人の人員整理と当面の配当支払いの停止を発表、同行株は3%超の大幅な下げとなっていたことも、リスクオフ(リスク資産回避)の流れを作り、NY株は大幅安に転じることになった。この中で金は前日比マイナス圏からプラス圏に浮上した。
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