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「米中協議進展期待に難航するブリグジット、
金はレンジ取引継続」

2019/10/23
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「米中協議進展期待に難航するブリグジット、金はレンジ取引継続」
(2019年10月23日記)

週明け10月21、22日のNY市場の金価格は、1490ドルを挟んだ狭いレンジでの取引が続いた。米中通商協議の進展観測の一方で、英国では10月末の離脱期限が迫る中で離脱を強行しようとするジョンソン政権と下院の審議が混迷。いわゆる2つの地政学要因に加え、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にこう着状態が続いている。週明け2営業日の金市場のレンジは1484.00~1498.70ドルで、終値は21日は1488.10ドル、22日は1487.50ドルといずれも小動き。他の貴金属もおおむね似た展開に。プラチナも890~900ドルのほぼ10ドル幅の中にレンジが収まるような流れとなっている。最大関心事はやはり部分合意したとされる米中協議の内容となるが、こちらは11月中旬にチリで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)が米中首脳会談の機会となることから、それまでにどこまで詰められるかにある。

米中協議については週明け21日にトランプ大統領がこの日の閣議で、中国との通商合意は成功裏に実現するとして楽観的見方を示した。「中国との第2段階の合意にむけた課題は多くの点で第1段階より解決が簡単だ」と記者団に語ったとされるが、具体的な内容は不明。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は第1段階の合意について、11月のAPEC首脳会談にて署名する目標に変わりはないとしたことから、週明けの株式市場など金融市場ではリスクオフ機運は後退、株式市場は上昇、債券は売られ利回りは上昇となった。ただし、こちらも方向感は出ていない。

米中協議の行方については、米国側にも見通しに温度差があり、対中強硬派で知られるロス商務長官は21日のFOXビジネステレビで「(中国との合意内容が)正しい取引でなければいけない。(第1段階の合意が)11月である必要はない」としている。実際に10月11日のワシントンの協議にて両国は特定分野に絞って暫定合意し、米国側は中国が今後2年以内に米農産品の年間購入量を最大500億ドル(5兆4千億円)に増やすと発表。しかし、中国側はこうした具体的な数字は認めておらず合意文書つくりは難航しているとの指摘もある。両国は21日にも事務レベルで電話協議したとされ、この日ライトハイザーUSTR代表は、中国と閣僚級の電話協議を25日に開くとしている。双方の主張に隔たりのある知的財産権の保護や中国による国営企業への補助金など構造問題は切り離し、まさに部分合意という成果を形にするか、構造問題にも触れるかで米国内にも割れがあるとみられる。

なお英国のブリグジット問題は、ジョンソン政権が欧州連合(EU)離脱関連法案を早期に成立させるために提出した「議事進行動議」を否決。重要法案について十分に時間をかけて審議するべきだと考える議員が反対に回った。10月末の離脱を目指すジョンソン政権は24日までに関連法案を成立させて離脱協定案の承認を得ることを目指したが難しくなった。
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