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「市場に予断を持たせたくないFRB、金は横ばい」

2019/08/22
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「市場に予断を持たせたくないFRB、金は横ばい」(2019年8月22日記)

8月21日のNY市場の金価格は横ばい前日比変わらずの1515.70ドルで終了となった。7月末に開かれ約11年ぶりの利下げを決めた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の公表を午後に控え、模様眺めの展開となった。米小売企業の好決算を受け米株式市場が大幅高で始まるリスクオン基調の中でNY午前に金市場では売りが膨らんだが、下げは1506.50ドル止まり。心理的節目の価格となる1500ドルをしっかりキープしての推移が続いている。

通常取引終了後に発表されたFOMC議事要旨だが、結果的には受け手のスタンス如何によりハト派、タカ派どのようにでも捉えられる内容だった。またFOMC内での意見の割れも再確認されることになった。議事要旨は、バランスを取ろうというFRB執行部の苦心の賜物という印象の内容となった。FOMCメンバーの2人が0.5%(50bp、ベーシスポイント)の大幅利下げを望んでいたとする一方で、大半の当局者が今回の利下げを「景気循環半ばの調整(mid-cycle adjustment)」と判断し、追加利下げを検討しているとの印象を与えたくないとの見解で一致していた。これは7月FOMC後の記者会見でのパウエル議長発言の内容と符合するもの。

「全般的にあらかじめ設定された道筋をたどっているように見えることを避け、今後の情報によって政策の方向性が決まるという手法を取ることが望ましい」という一文は、前のめりに利下げを織り込んで進行する市場を牽制するという側面と、FRB自らが市場動向に縛られることを避ける狙いがありそうだ。「柔軟に対応する」ことを主張する参加者もいた。臨機応変に対応ということで、結局、昨年秋にクラリダ副議長が唱え始めた「経済指標次第」ということになる。

今回の議事要旨に対する反応の薄さは、FOMCの直後にトランプ大統領が対中関税第4弾を9月1日付けで発動すると発表し混乱を招き、市場環境が変わってしまったことにありそうだ。その後のFRBの見解がどう変わったかも、23日にジャクソンホールで予定されているパウエル議長の講演でのポイントになる。その経済シンポジウムは本日22日から3日間の日程で開かれる。

本日は調査会社マークイットによる8月の米製造業PMI(購買担当者景況指数)・速報値が発表されるほか、欧州各国の製造業PMIも注目される。
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