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「小動きの中で金は小反発で終了」

2017/05/26
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「小動きの中で金は小反発で終了」(2017年5月26日記)

5月25日のNY市場の金価格は、小幅反発となった。前日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録の影響は見られず、比較的狭いレンジの中での値動きに始終し、終了となった。NYコメックスの通常取引は前日比3.30ドル高の1256.40ドルで終了した。注目のブレイナードFRB理事の発言内容は、6月の追加利上げを示唆するものとなり、市場の利上げ織り込み度はさらに上がることになったが金市場への影響度は限定的なものとなった。

この1ヵ月ほどの金市場は、欧州で今年の上半期の最大の注目事項かつリスク要因となっていたフランスの大統領選が、ほぼ波乱なく終わることが確認される中で調整局面入りの様相を濃くしていた。フランス大統領選でもっとも懸念が高まったのが、1次投票が行われた4月23日の直前だった。選挙終盤に極左政党のメランション候補が支持率を伸ばし、混戦模様となり選挙結果が見通せなくなったことにより支持率が割れた結果、決選投票にEU擁護派の候補が残らないのではとの懸念が高まったことによる。ちょうど欧米ではイースター(復活祭)休暇明けのタイミングだったが、政治リスクへの警戒の中で金は年初来高値を更新し、1297.4ドルまで買われた。しかし、1300ドル大台乗せは見られなかった。

その注目の1次投票では、市場の懸念は解消されることになった。EU擁護派のマクロン候補が決選投票に残ったこと、さらに反EUのルペン候補の得票率が支持率並みにとどまったことによる。市場が恐れた“隠れルペン支持者”の存在は、恐れるほどではないということになったからだ。実は、5月の決選投票を待たずにこの段階から金市場では、先物市場でのファンドの買い建て(ロング)の手仕舞い売りが膨らむことになった。さらに5月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)では、声明文が先行きの景気に強気の見通しを示し、次回6月の追加利上げ観測を高めたことが金の下げに拍車をかけた。そして、フランス大統領選が終わった直後の5月9日には金は1214.3ドルまで売り込まれることになった。この時点では、本年前半の山場が終了という空気が金市場を覆っていた。

ところが、結果的にこの安値を記録した5月9日が、金市場にとって反発への転換点となる。それは欧州の政治リスクが鎮静化する一方で、米国でにわかにリスクの火の手が上がったことによる。それがトランプ大統領がコミー前FRB長官の解任劇だった。そのコミー前長官の議会証言が来週以降予定されており、金市場にとってリスクイベントが復活することになった。
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