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「中国要因のドル安からFRB高官発言を受けドル反転、金は高値から反落」

2022/11/29
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「中国要因のドル安からFRB高官発言を受けドル反転、金は高値から反落」
(2022年11月29日記)

週明け11月28日のNY市場の金価格は4営業日ぶりの反落となった。中国要因によるドル安を受け一時1週間ぶりの高値となる1760ドル台まで買われたものの、NY時間に入り米連邦準備理事会(FRB)高官の利上げを巡るタカ派発言によりドルが買い戻され、金は上げ幅を削りマイナス圏で取引を終了した。NYコメックスの通常取引は前週末比13.70ドル安の1740.30ドルで終了した。一時は1763.50ドルと11月18日以来の高値まで買われていた。

中国全土に広がったコロナ規制への抗議活動を巡る懸念から、同国の混乱が世界経済の減速を招くとの警戒感が強まり、NY時間外のアジア午後からロンドンの時間帯に米国株式の先物が下落。合わせて主要通貨に対しドルが売られドル円相場は一時8月12日以来の安値137.50円まで下落(円高)。ユーロドルも一時1.0494ドルと1.05ドルに迫るところまで上昇。このドル安でドル指数(DXY)は一時105.321と8月12日以来3か月半ぶりの水準まで低下。この中でNY早朝に金は1760ドル台で推移した。一方、WTI原油は同じ時間帯に73.60ドルと昨年12月下旬以来約11カ月ぶりの安値を記録。中国の景気減速に伴うエネルギー需要見通しへの警戒感が強まり売られることに。

米国では折しもFRBによる利上げペースの減速観測が高まったタイミングでの中国発の世界経済減速観測は、為替市場では、このところのドル買いポジションの巻き戻しをさらに促進させたとみられる。ところがこのドル安の流れは、NY時間に入り逆転することになる。FRB高官が金融引き締めの長期化見通しを相次いで示したことによる。

セントルイス連銀のブラード総裁は、金利がインフレ抑制に向け「制約的となるための道のりはまだ長い」とし、「十分に制約的」な水準にするために、金利を現在の3.75─4%から5─5.25%のレンジへ引き上げる必要があると従来の主張を繰り返した。その上で来年および2024年にかけその水準で維持する必要があるとした。同総裁は以前から最右翼のタカ派で知られる人物だが、その指摘はここまで的を得たものだった。一方、NY連銀のウィリアムズ総裁も金融引き締めを長く続ける考えを強調した。「インフレはあまりに高過ぎる。根強い高インフレは、米国経済が潜在的な力を十分発揮する能力を弱める」とし、「まだやるべき仕事はある」とした。

こうした発言に加え、中国での抗議行動が当局によるSNS上の投稿や動画の削除、さらに警察力の投入などで沈静化に向かっているとの報道も流れの反転につながったとみられる。
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