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「ハト派連銀総裁の22年利上げ発言、ドル急伸で金は続落」

2021/06/21
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「ハト派連銀総裁の22年利上げ発言、ドル急伸で金は続落」(2021年6月21日記)

前週末6月18日のNY市場の金価格は続落となった。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)のタカ派的政策転換を受け、その消化の過程で水準を切り下げた金市場。18日は米地区連銀総裁のタカ派的発言を受けてドル高が再燃し、さらに売られることになった。NYコメックスの通常取引は前日比5.80ドル安の1769.00ドルで終了した。週間では5.9%、110.60ドルの大幅安となった。2020年3月13日までの週以来の大幅下落で3週続落となった。当時は新型コロナ蔓延に対する警戒感から株価が暴落状態となり、取引を清算するための資金捻出のために金が売られた経緯がある。売り一巡後、金は急反発し、その後の高値更新につながった。

セントルイス連銀のブラード総裁は18日の朝方、CNBCテレビのインタビューで、FOMCが引き締めを早める方向にシフトしたことについて、経済成長、特にインフレ率が予想よりも伸びていることに対する「自然な」対応であるとした。自分自身が2022年の利上げ開始を見込む当局者の一人だとした上で、危機対応を終わらせることは正常とした。「今年はわれわれが予想していたよりも大きな年で、インフレ率はわれわれの予想よりも伸びているため」、「多少タカ派に傾いたのは自然なことだと思う」とした。

テーパリング(量的緩和策の縮小)については、縮小の方法や時期を巡って今後数回の会合で「健全な」議論が行われるとしている。また、住宅市場の過熱を念頭に(現行の量的緩和策の)MBS(住宅ローン担保証券)の購入をまず中止することを検討し、経済の動きに応じて毎月の縮小ペースを速めたり遅めたりする「機敏さ」が必要とした。

ハト派とみられていた同総裁の発言を受け、想定よりも金融政策の正常化が早まるとの観測が高まり、市場横断的な反応が見られた。為替市場でドルが対ユーロを中心に主要通貨に対し上昇し、ドル指数は92.41と4月中旬以来の高値を更新。終値は92.23と週間ベースの上昇率は約2%と約14カ月ぶりの大きさとなった。インフレを見越した取引(リフレトレード)の解消が進む債券市場では米10年債利回りが低下。金市場ではNY時間外のアジアやロンドンの時間帯に安値拾いの買いが見られプラス圏に浮上していたが、ブラード発言を受けたドル急伸に押し戻され、続落となった。米国株もダウ30種平均が5日続落となり、週間ベースで1189ドル(3.4%)安と昨年10月以来の下落率となった。

今週は明日22日にパウエルFRB議長が米下院特別小委員会で、パンデミック緊急融資や資産購入プログラムを巡る証言を予定している。先週のFOMC後の動きを受けて、どのように発言するかに注目が集まる。さらに今週は連日にわたりFRB関係者による講演など発言機会が予定されている。それぞれの発言に注目が集まる。25日には、FRBがインフレ指標として重要視している個人消費支出物価指数(PCE)の5月のデータが公表される。いずれも内容如何で市場の値動きは大きくなりそうだ。
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