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「イラン・イスラエル間沈静化観測、
投機筋の売り戻しで大幅反落」

2024/04/23
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「イラン・イスラエル間沈静化観測、投機筋の売り戻しで大幅反落」
(2024年4月23日)

週明け4月22日のNY市場の金価格は3営業日ぶりに反落した。イスラエルとイラン両政府が攻撃の応酬に消極的との見方が浮上し、中東情勢への警戒感が和らぎ、相対的に安全な資産とされる金市場からは資金が流出した。NYコメックスの通常取引は前週末比67.40ドル安の2346.40ドルで取引を終了した。NY時間外のアジア時間の寄り付きから売りが先行し、そのままアジア午後、ロンドンさらにNYと終日下げトレンドが続き予想外に下げ幅は拡大した。

イランとイスラエルが互いに相手の領土を直接攻撃したことで、中東で全面戦争が勃発しかねないとの警戒が強まったが、双方が踏みとどまったとみられる。イラン政府はイスラエルの攻撃をそれほど重大視せず、報復しない意向を示唆した。国内での政権基盤の弱いイスラエル、ネタニヤフ首相が危険な政治的賭けを続けることへの警戒も後退した。米国務省によるイスラエル国防軍「ネツァ・イェフダ大隊」への支援停止の決定も、抑制要因になったとされる。

22日は、ここまでの短期投機筋(CTA)によるモメンタムトレードが買い手掛かりを失い失速とういう形で始まった下げが、次第に逆モメンタムともいえるポジション整理の売りを誘発し下げ幅が拡大することになった。急騰後にありがちなパターンに落ち着くことになった。結果的に、中東情勢の流動化に対し金市場に乗っていたリスクプレミアムが、剥がれたことになる。

価格展開からは、3月と4月のゴールド上昇には背景の違いがある。

3月は米利下げ観測を中心に複合要因による上値追いで、上昇基調を強めたものの特定の事件事故に刺激されてのものではなかった(イベントレス型)。一方で、上げが加速した4月は1日に発生したイスラエルによるシリア内イラン大使館空爆にはじまり13日のイランによる報復攻撃、それに対し18日のイスラエルの反撃という一連の地政学イベントへの反応が強く出たものだった。その間に浮上した、米インフレの持続傾向とそれによる利下げ時期の後ずれ観測は、金の売り要因ではあるもののイベント型の上昇に消されることになった。

そのイベントが一巡したことでファンドのポジション調整が起き、今後は改めてマクロ環境への反応が始まる。今週はこの点で最大の注目指標が26日の3月米個人消費支出(PCE)物価指数(PCEデフレーター)がある。特にエネルギーと食品を除いたコアPCEデフレーターは米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視していることで知られる。予想比上振れは、一段の利下げ観測の後退につながり、逆に鈍化は利下げ観測の高まりとなる。その結果を見たいというのが、市場の大勢的なスタンスとなっている。
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