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「14日の市場で注目された2つのイベント」

2021/01/15
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「14日の市場で注目された2つのイベント」(2021年1月15日記)

1月14日のNY市場の金価格は小幅に反落となった。総じて米長期金利(10年債利回り)の上下動に影響を受ける値動きとなった。主要通貨に対するドル相場も同じように債券相場の影響を受け始めており、ドル指数の上下にも影響を受けている。前日は上昇が一服した10年債利回りだが、この日は再び上昇に転じた。NY時間外には一時1.075%まで低下した後に上昇に転じ、NY時間の終盤には1.1275%に上昇となった。この日は、米投資銀行ゴールドマン・サックスが米金利見通しを上方修正。2021年末の米10年債の予想利回りを従来の1.3%から1.5%に引き上げた。

この日の金市場はアジア時間に売りが先行し、1826.60ドルまで水準を切り下る弱含みの展開でスタート。ただし、1800ドル接近を狙うような投機的な売りというわけではなく、資金移動を思わせる売り物の印象で、実際に売り一巡後は1840ドル台に復帰。その後は概ね安定的に1840ドル近辺での値動きを続け、そのままロンドンさらにNYの通常取引に入ることに。NY入り直後に発表された週次ベースの失業保険新規申請件数が、予想外の上振れとなる前週比18万1000件増の96万5000件となったことを受け、金は1850ドル台を回復。しかし、上値は重く1850ドル近辺での取引が続き、そのまま終盤に移行し終了となった。NYコメックスの通常取引は、前日比3.50ドル安の1851.40ドルで終了となった。

この日の市場の関心事は2点あった。まず、NYの昼間の時間帯に予定されていた米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長のWebセミナーでの発言内容。2つ目は、東部時間の夜に地元デラウェア州で予定されていたバイデン次期大統領の経済対策の詳細発表だった。

プリンストン大のWebセミナーに参加した米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、総じてハト派的な発言に始終した。内容について足元の米景気が減速傾向を強めていることから意外感はなかった。足元の市場では、新型コロナワクチンの接種拡大とバイデン次期政権の大型経済対策による経済正常化から、FRBによる異例の緩和策が早期に終息するのではとの見通しが高まっている。対して、議長は「必要になれば利上げするが、そのときはすぐに来ない」とした。経済正常化に伴い物価上昇は予想されるとはしながらも、「一時的であり基調的な物価上昇を意味しない」とした。その上で、一時的に2%を超えても、利上げにつながらないという従来からの方針を強調した。また資産購入の縮小については、「(市場に混乱を起こさないよう)変更を検討するよりも前にわかりやすく知らせる」とした。発言内容に対し、市場では目立った反応が見られなかったのは、想定された内容となったことによる。

一方、バイデン次期大統領が発表した追加の新型コロナ対策案の予算規模は、1.9兆ドル(約200兆円)と大規模なものとなった。1兆ドルは家計支援に充てる方針で、1人あたり1400ドル(約14万5000円)の現金給付を盛り込み、失業給付の特例加算も9月まで延長する。新型コロナ対策に4000憶ドルを当てワクチン接種などを進める。また財政難の州・地方政府にも3500億ドルを支援するなど、昨年末に共和党の反対で実現しなかった内容も広く盛り込んだものとなっている。市場では、当初1.5兆ドル規模という見通しも流れたが、それを上回る規模に。しかし、15日アジア時間の市場に目立った反応が見られていないのは、こちらも織り込み済みということのようだ。
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