DAILY 市況解説NY市場を中心に市場動向・トピックをお伝えします。


※登録いただいたメールアドレスは情報配信以外には利用しません。

「米中対立への懸念、NY金は反発」

2020/05/25
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「米中対立への懸念、NY金は反発」(2020年5月25日記)

週末5月22日のNY市場の金価格は反発となった。米中間の緊張の高まりが買い材料となった。22日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、言論やデモの自由が保障されてきた「一国二制度」の香港に対する統治を強化する新たな国家治安法を制定する方針が示され、これに米国政府が非難の声を高めた。対する中国は内政問題につき介入は不当との立場を鮮明にし、両国の対立は深まっている。この日の香港ハンセン指数が前日比5.56%の大幅安となり、今後の混乱を予見させる動きとなり市場横断的に警戒感を高めさせた。

メモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)の3連休を控えたNY市場では、全般的に取引が手控えられる中で株式市場は方向感の出にくい展開に。前日は下げ幅が目立った金市場では、押し目買いが入り反発となった。NYコメックスの通常取引は前日比13.60ドル高の1735.50ドルで終了した。週間ベースでは3週間ぶりの下げとなった。買いが先行する流れが続いたプラチナは、一時900ドル台乗せを見るも、利益確定の売りに押し戻され19.80ドル高の886.30ドルで終了となった。

米中間については、1月に米中通商協議「第1段階合意」がなり、市場に安心感が広がり米国株式市場の過去最高値更新につながった。その後、新型コロナ感染症が中国から欧米に拡大。トランプ政権は世界的な感染拡大の背景に、中国による情報隠蔽が欧米諸国の対応を遅らせたと非難。一方でこの間中国は、世界的な金融経済の混乱に乗じるかのように、南シナ海や台湾海峡での軍事プレゼンスを高めたり、アフリカ諸国などへの医療援助活動(いわゆるマスク外交)を活発化し外交攻勢をかけていた。

そこに加わった中国の香港への強硬スタンス。前日にトランプ大統領が、中国が香港への治安法制の導入を決めれば、「極めて強硬に対応する」と発言していた。この日はポンペオ米国務長官が、「この破滅的な提案を再検討するとともに、(中英共同宣言がうたった)国際義務を順守し、香港の高度な自治を尊重するよう強く求める」とした。安全保障担当のオブライエン大統領補佐官も、同様の発言をし「強硬な行動に出れば、米国は対応する」としている。

新型コロナ危機下にあって両国間の緊張の高まりは、双方にメリットがないのは自明につき、深刻な事態には至らないとの見方は出来なくもない。しかし、最近の中国側の行動に米国議会の反発も強く対中強硬論は党派を超えてまとまりを見せる数少ない論点となっている。中国は一足早く新型コロナ禍からの正常化を進めているものの、今回の全人代では20年の実質GDP成長率の目標を見送るほど、景気の先行きが見通せなくなっている。中国国内では失業問題の深刻化が伝えられており、一般の不満が高まっているとの報道も見られる。

※本日のNY市場はメモリアルデーの祝日で休場となります。明日の更新・メール送付はありません。
PAGE TOPへ