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「リスクオンの資金移動、長期金利急騰で金反落」

2021/09/24
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「リスクオンの資金移動、長期金利急騰で金反落」(2021年9月24日記)

9月23日のNY市場の金価格は4営業日ぶりの反落となった。この日米長期金利が急騰する一方で、米株式市場が大幅続伸となるリスクオン環境の中で、金市場では広く売りが広がることになった。NYコメックスの通常取引は前日比29.00ドル安の1749.80ドルで終了した。9月16日に次ぐ下げ幅で、終値ベースで8月10日以来6週間ぶりの安値水準となる。

前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて次回11月の会合にてテーパリング(資産買入れの縮小)決定が強く示唆され、22年半ばまでに終了の意向が示された。同時に発表されたFOMCメンバーによる経済予測では利上げ時期が早まり、22年末までには利上げも視野に入っていることが示された。その一方でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC後の記者会見で、利上げのハードルはテーパリングよりもはるかに高いとの認識を示した。従来よりタカ派に寄った決定にも関わらず、当日の株式市場は上昇で反応。金市場も大きく売り戻される展開に至らなかったのは、サプライズがなく予想通りだったことを示している。また、23日に債務の利払い日が到来する経営危機に陥った中国恒大集団を巡る懸念が、金市場ではサポート要因となっていた。

まずその中国恒大は、この日人民元建て社債の利払いを実施すると発表した。一部で中国当局が中国恒大に対し、当面ドル建て社債のデフォルトを回避するよう指示したと報じられた。前日の記者会見にてパウエルFRB議長が米中の金融環境は違うとの見解を示したこともあり、市場では米国の銀行や金融システムに悪影響を与えるような問題ではないとの認識が広まり、当座は沈静化ということになった。

買いを見合わせていた投資家が一斉に動き始めたと思われるが、米国株式市場は大幅続伸となるリスクオン環境に転じることに。同時に米国債に売りが広がったのは、逃避資金の移動とみられるが、10年債は下落し利回りは急騰となった。週初の1.309%から1.4%を超え1.434%で終了する大幅上昇でとなった。7月2日以来約3カ月ぶりの高水準に。この長期金利の急騰が金の下げにつながった。また。このところ金は安全資産として買われたこともあり、その資金流出もあったとみられる。同じく為替市場では逃避資金がドルから移動しドル指数(DXY)は低下。ドル指数は93ポイントを割れ、1日の下げ率としては1カ月ぶりの大きさとなった。ドル指数の下げは、金の下値を支えた。

一方、リスクオン・センチメントの高まりとは裏腹にこの日発表された米国指標は弱気のものが続いた。IHSマークイット発表の9月の米総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)は54.5に低下し、2020年9月以来1年ぶりの低水準を付けた。米労働省が発表した9月18日までの1週間の新規失業保険申請件数は35万1000件と、前週から1万6000件増加した。減少予想に反し増加し、8月来で最大となった。ここにきて7~9月期は景気減速が予想されているが、それと整合性のある内容と言える。
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