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「金は6連騰、プラチナ急落は中国宝飾需要後退懸念か?」

2020/02/21
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「金は6連騰、プラチナ急落は中国宝飾需要後退懸念か?」(2020年2月21日記)

2月20日のNY市場の金価格は6営業日続伸となった。NYコメックスの通常取引は前日比8.70ドル高の1620.50ドルで取引を終了した。終値ベースでみて手元のデータでは、2013年2月14日以来7年ぶりの高値となる。時のバーナンキ議長の下で、米連邦準備理事会(FRB)が2009年以来続けてきた量的緩和策(QE)の段階的縮小(Tapering)を議題に取り上げたのが、2013年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)だった。それが明らかになり金は大きく売られることになった。NY金は、その前の水準に名実ともに戻ったことになる。この日もドル円相場の上昇が続き、112円台に入ったことから円建て国内価格も1980年1月以来の高値を更新。本日は5800円台(税抜き)に乗せている。

中国国内での新型コロナウイルス感染者増加ペースが落ち、中国政府が景気テコ入れのためにあらゆる方策を打ち出すとの見通しから、前日は米国株を中心にリスクオンセンチメントの回復が見られたものの、この日は逆に楽観論は再び後退。横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の事例から当初の想定よりもウイルスの感染力が強い恐れがあると警戒感が広がり、実際にそれを裏付ける複数の研究結果が発表され警戒感が高まった。韓国でも新たに31人の感染が確認されるなど中国以外での新たな感染状況を受け、世界経済への影響が懸念されている。この日の米国株式市場は、NYダウが一時前日比で350ドルほど値下がりする局面が見られたが、(中国共産党機関紙・人民日報傘下の)環球時報が、北京の病院で新たに36人の感染が確認されたと伝えたことが下落のきっかけになったとの指摘がある。NYダウは終盤買い戻され128ドル安で終了したが、さしもの米国株式市場も米国株式市場も騰勢は衰えつつある。

この日の貴金属相場の中で、プラチナのみが下落。その下げ幅も大きくなったことが目を引いた。25.50ドル安の979.00ドルで通常取引を終え、前日は3週間ぶりに1000ドル大台回復となったが維持できずに反落。目立った材料は見られないものの、中国でのプラチナ宝飾需要の落ち込み観測が売りの背景とみられる。リフィニティブのデータでは、プラチナの総需要は2018年時点で242トン。その内、宝飾需要が66トンを占める。さらにその半分強の35トンを中国が占める。もっとも需要が高まる春節(旧正月)のタイミングでの新型ウイルスによる(店舗閉鎖や移動制限など)経済活動の停滞は、総需要に占める比率の大きい(すなわち価格訴求力の大きい)中国宝飾需要を傷めたのは間違いなく、このタイミングでの売りにつながったとみられる。

もっとも中国国内での需要の急低下は金宝飾品も同じで、落ち込み規模も1-3月期で100トン規模にもなる可能性もある。ただし金の方は、ETF(上場投信)など投資マネーの流入がこうした実需の落ち込みをカバーしている構図がある。NY先物価格のベースでは、金とプラチナの価格差は641.50ドルに拡大。「通貨代替」という側面の有無と流動性(市場規模)の違いが価格差に投影されている。
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