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「大幅下落の株式市場、金は益出し売りの対象に」

2024/07/25
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「大幅下落の株式市場、金は益出し売りの対象に」(2024年7月25日記)

7月24日のNY市場の金価格は続伸した。注目の米経済指標、4~6月期実質国内総生産(GDP)、同じく6月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)の発表を控えるにもかかわらず、アジアの午後からNYの時間帯を通し買いが先行する流れが続いた。NYの通常取引入り後には、騰勢を強め昼前には一時2433.00ドルまで買われこれが高値になった。その後売り優勢に転じ、上げ幅を削りながら相場は進行し通常取引は前日比8.40ドル高の2415.70ドルで終了した。ただし、これで終わりではなかった。

通常取引終了後の時間外取引にてNY金は一転し売り先行の流れが強まり上げ幅を失い、マイナス圏に転じると節目の2400ドルも割れることになった。結局時間外取引は2397.50ドルで終了した。24日は米株式市場が総崩れとなり、主要3指数ともにほぼ安値引けの大幅安に。こうなると利益の出ているゴールドは益出しの対象となり、時間外で売られることになった。もともと前週に大きく買われて買い残整理の途中でもあり、下げ始めると値を消すのも早かった。

一方、この日もドル円相場は、円の売り持ち(ショート)を巻き戻す(買い戻す)動きからドルの下値追い(円高)が続いた。NY時間には一時153.11円まで付ける急落が続いた。NY午前の中頃に米S&Pグローバルが発表した7月の米PMI(購買担当者景気指数)速報値で総合指数が55.0と、2022年4月以来、2年3カ月ぶりの高水準となる一方で、製造業は49.5と好不況の節目50を再び割り込んだことが判明した。6月の米新築住宅販売も予想外のマイナスとなり7カ月ぶりの低水準となった。景気の減速感が強まる中で米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が一段と強まり、日米金利差の縮小観測を手掛かりとした下落に、今度は短期投機筋が相乗りする形の下げモメンタムの高まりが見られている。25日の日本時間の午前には一時152.53円まで円高が進んでいる。

時間外でのNY金の下落に、円高が重なった結果、国内金価格は前日比で400円近い下げとなり、25日午前の時点で大阪取引所の先物価格は1万1600円台で推移。税込み表示の店頭小売価格は1万2970円となっている。

米国株式市場では決算発表が続く中で、結果あるいは見通しが市場予想に届かない銘柄を中心に大幅安状態で、テスラ、米グーグル持ち株会社アルファベットが大きく売られ、いわゆる他の巨大テック7銘柄「マグニフィセント・セブン(MAG7)」銘柄にも波及。ナスダック総合株指数は、前日比654ポイント、3.6%安の1万7342で終了。下落率は22年10月以来、約1年9カ月ぶりの大きさを記録した。予想されつつも、なかなか起きていなかった大きな調整安が到来しリスクオフのなかで、利益確定売りが金市場で広がっている。金市場は売りが一巡した後にどのように切り返すのか注目される。
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