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「激増した米新規失業保険申請件数、
ドル安の中で金は反発」

2020/03/27
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「激増した米新規失業保険申請件数、ドル安の中で金は反発」(2020年3月27日記)

3月26日のNY市場の金価格は反発で取引を終えた。注目された週間ベースの新規失業保険申請件数の悪化やドル安を手掛かりに買いが優勢となった。また米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米経済はおそらく景気後退(リッセッション)入りすると発言したことも、押し上げ材料となった。NYコメックスの通常取引は前日比17.80ドル高の1651.20ドルで取引を終了した。

この日の金価格は、悪化が予想されていた米新規失業保険申請件数の発表を前にアジアからロンドンの午前は売りが先行する流れとなった。ただし、NYの通常取引開始間もなく発表された申請件数が、市場予想の170万件に対し328万3000件と前週(28万2000件)は元より予想値をも大きく上振れる劇的な増加に反応し買われることに。発表された数字は、現行方式で最多だった1982年10月(69万5000件)を大幅に上回り、歴史的な高水準だった。1640ドル近辺で発表を受けた金価格は、騰勢を強め1670ドル台まで上昇。1660ドル台で売り買い交錯状態となった後に、株式市場が雇用の悪化を示す指数にもかかわらず騰勢を強め上げ幅を拡大する中で、金市場は次第に売り優勢に転じ上昇幅を削ることになった。

米失業保険申請件数については、先週時点で受け付け窓口が申請者の激増で混乱が伝えられており、400万件という予想(シティ・グループ)も見られていた。発表後に反応が目立ったのは金に加え為替市場で、ドルの下げが目立つことになった。23日には103ポイントに接近していたドル指数(DXY)は、99.38ポイントまで急落して終了。前日は101.91まで上昇していた。一方、債券市場では国債利回りは低下したが小幅にとどまり反応は比較的鈍かった。このところ米国債相場はトレーダーの自宅待機などから取引が薄くなる傾向が見られていることも、関係していそうだ。それと指標の悪化はここに至る乱高下の中で織り込み済みとも言えそうだ。

この中で株式市場は大きく上昇した。こちらは指標の悪化よりも2兆ドル規模の新型コロナウイルス経済対策法案が上院で可決され、間もなく成立するとの期待が相場を支えたとみられる。NYダウの1351ドル高をはじめ主要指数は軒並み6%前後の大幅高で終了した。米国経済は「おそらく景気後退(リセッション)」入りするとしたパウエルFRB議長だが、「わたしを含め多くの人が経済活動は年後半に再開し持ち直すと予想している」と述べたことも株式市場では支援要因となったとみられる。

ただし足元の米経済の低下は明らかで、申請件数の急増は始まつたばかりといえ、今後数週間はある種異常値といえる状況が続くことになりそうだ。
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