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「利益確定売りに金は反落、増税案に総すくみの株式市場」

2021/04/23
Market Strategy Institute Inc.代表
金融・貴金属アナリスト
亀井 幸一郎

「利益確定売りに金は反落、増税案に総すくみの株式市場」(2021年4月23日記)

4月21日のNY市場の金価格は反落となった。このところの上昇で2カ月ぶりの高値水準に達していたことから、利益確定の売りが優勢となった。NYコメックスの通常取引は、前日比11.10ドル安の1782.00ドルで終了となった。NYの朝方発表された新規失業保険申請件数が2週連続で低下したことを受け、債券市場が反応。雇用市場の回復観測から米国債に売りが出たことで米10年債利回りは上昇し、金市場は売りが先行する流れとなった。ところが、午後に入り株式市場で下げが拡大し、リスクオフ機運が高まると国債に資金が回り利回りは低下。それに伴い金市場での売り圧力は弱まることになった。

この日の金市場は、アジア時間の早い段階は前日の地合いを引き継ぐ形でプラス圏で推移し、一時は再び1800ドルに接近する局面がみられた。結局、NY時間外のこの時間帯の1798.10ドルがこの日の高値ということに。そのままロンドンの午前まではプラス圏を維持したものの、NYの早朝にマイナス圏に入り、前述の労働指標の発表を受け一時1780ドル割れを見て、終盤に1780ドル台まで回復ということになった。

米労働省が朝方発表した17日までの週の新規失業保険申請件数は、54万7000件と前週から3万9000件減となった。昨年3月以来の低水準で、市場予想は60万3000件となっていた。新型コロナウイルスのワクチン接種が広がり、行動規制の緩和から、改善が続くとの見通しが高まっている。一方、この日発表された3月の米中古住宅販売件数は、前月比3.7%減と2カ月連続で減少となった。低価格帯を中心に住宅在庫不足や価格の高騰が販売減の背景として指摘されている。

そしてこの日最も市場の反応が大きかったのが、この日の午後、ホワイトハウスのサキ報道官が、来週28日のバイデン大統領による施政方針演説に合わせて発表されるとした教育や医療・介護分野のインフラ投資計画「アメリカン・ファミリーズ・プラン」に関連し、各社が報じた増税案の報道だった。

ブルームバーグ通信など複数社が報じるところでは、所得が100万ドル(約1億800万円)以上の国民に対し、株式など値上がり益に対するキャピタルゲイン課税を現状の20%から39.6%へ引き上げる案が固まったとされる。また、所得税の限界税率も37%から39.6%に引き上げる方針とされる。バイデン政権が3月に発表したインフラ投資などを含めると、総額で4兆ドル規模に達するとみられており、その財源に富裕層や企業への増税で一部を賄うことになる。また、合わせて格差是正にもつなげるとみられる。この見通しに対し、株式市場は大きく売りに転じることになった。
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