貴金属市場の動向

2019年11月

株式会社 徳力本店 地金部 地金課 金塚 美智子

  • 金市場の動向
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金市場の動向 11月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,510 ドル付近で始まった11 月のドル建て金相場は、10 月米雇用統計で労働市場の底堅さが示されたほか、米中貿易摩擦緩和への期待感などから売り優勢になりました。また、4 日には米中双方が制裁関税の一部撤廃を検討しているとの報や米ISM(供給管理協会)非製造業景況指数の良好な結果を受けた外為市場のドル高進行が圧迫材料となり、売りが加速。1,500 ドルの節目を割り込み、1,480 ドル付近まで約30 ドル水準を切り下げました。
 その後は、11 月中旬に開催予定のアジア・太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に併せて予定されていた米中首脳会談の場での通商第一弾合意文書への署名が先送りになるとの見方から、交渉進展への期待感が後退。リスク回避の金買いに一時1,490 ドル台まで水準を切り上げました。
 ただ、米中貿易協議を巡る先行き不透明感と進展への期待感が交錯しているほか、一部米連邦準備制度理事会(FRB)高官らによる追加利下げ不要発言、欧州連合(EU)離脱期限を再延長した英国の政局不透明感後退などが圧迫材料となり、売りに転じました。また、12 日のトランプ米大統領講演を前に、欧州からの輸入自動車に対する制限先送りの思惑が浮上したことや、講演でのFRB 金融政策批判などもリスク選好姿勢を強めました。下落基調が続く中、一時1,440 ドル台まで水準を切り下げました。
 その後は、香港や中東地域を巡る地政学的リスクの高まりや中国の景気先行き不透明感などを背景としたリスク回避の買いに支えられ、1,460 ドル付近まで水準を戻し、同水準での推移が続きました。
 18 日には、米国が中国通信機器最大手への禁輸制裁の例外措置再延長を発表し、リスク回避姿勢が後退する中、一時1,460 ドル割れまで売り込まれる場面が見られました。ただ、米中通商合意への先行き不透明感や香港を巡る情勢不安などを背景に買戻しが入り、1,480 ドルに迫る付近まで水準を切り上げました。
 22 日には、米中双方が第1 段階の通商合意を纏めたいとの意向を示唆する中、売りが優勢となり、1,462 ドル付近まで水準を切り下げました。その後は、米中貿易協議進展への期待と難航懸念が入り混じる中、1,460 ドル台で膠着し、同水準での小動きが続きました。
 月末にかけては、「香港人権・民主主義法案」を米国が成立させたことに中国が反発し、貿易協議進展期待が後退する中、金買いが優勢となる場面が見られました。一時1,470 ドル付近まで上伸するも、米国の祝日を挟み、市場参加者が少なく、積極的な商いが控えられる中、1,460 ドル付近まで水準戻し、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 米中貿易協議を巡り不透明感が燻っているほか、香港・北朝鮮・中東地域の地政学的リスクなどを背景に底堅い推移が続くと思われます。

プラチナ市場の動向 11月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 930 ドル付近で始まった11 月のドル建てプラチナ相場は、労働市場の堅調さが示された10 月米雇用統計や米中貿易摩擦緩和期待から米国株式が大きく上昇したことを好感した買いのほか、パラジウムの上昇に支えられ、950 ドル台まで上伸しました。ただ、直近高値を更新したことによる利益確定の売りに押されたことやパラジウムの大幅安が重石となり、売りに転じ、930 ドル台まで水準を戻しました。
 その後は、米中貿易協議進展への期待を背景とした米国株式の堅調推移が下支えになるも、外為市場でのドル高や金・パラジウムの下落が圧迫材料となり、900ドル割れを試す付近まで売り込まれました。
 11 日には中国自動車協会が公表した10 月新車販売台数が前年同期比で減少し、16 か月連続で前年実績を下回る結果に、プラチナ触媒需要減退懸念が浮上。一時870 ドル割れまで売り込まれました。その後は、新規手掛かり材料に欠ける中、870 ドル~ 880 ドル付近で上値重い推移が続いたものの、米中通商合意への期待感に伴う欧米株価上昇を好感した買いやパラジウムの大幅高に追随し、一時930ドル付近まで大きく水準を切り上げました。
 ただ、上昇基調が続いたことに対する反動売りが台頭したほか、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの一部鉱山でストライキが終了したことが相場を圧迫。900 ドルの節目を割り込み、890 ドル付近まで売り込まれました。
 月末にかけては、米国株式が史上最高値を更新したことやパラジウムの上昇に連れ、910 ドル台まで水準を切り上げる場面が見られるも、独自の新規手掛かり材料に欠けたほか、米国の祝日を控えたポジション調整などが入り、900 ドル割れまで売り込まれました。一時890 ドルを割り込んだものの、その後は895 ドル付近まで水準を戻し、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 上場投信(ETF)や先物市場へ投資資金流入が継続していることが相場を下支えしているものの、プラチナ主要消費国である中国や欧州の景気減速懸念などが燻る中では、上値重い推移が続くと思われます。



為替市場の動向 11月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 108 円付近で始まった11 月のドル円相場は、主要米国経済指標公表を控え、様子見ムードが漂う中、同水準での小動き続いたものの、1 日の米国時間帯に公表の10 月米雇用統計で労働情勢の底堅さが示された結果を受け、円売りが優勢となりました。
 また、米中貿易協議進展への期待感の高まりや5 日に公表された米ISM 非製造業景況指数の良好な結果を受け、ニューヨークダウ平均株価が史上最高値を更新したことで、円売りが加速し、109 円台前半まで円安に進みました。
 ただ、11 月中旬に開催予定のアジア・太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に併せて予定されていた米中首脳会談で部分的通商合意の署名が先送りされるとの一部報を受け、日増しに高まっていた協議進展への期待感が後退し、円買いに転じました。一時108 円台後半まで円高に進むも、米中双方が追加関税を段階的に撤廃するとの報を受け、再び交渉進展への期待感が浮上する中、109 円台前半まで円安方向に切り返しました。その後は、新規手掛かり材料に欠ける中、109 円を挟んだ付近で小動きが続きました。
 12 日のトランプ米大統領講演で、米中貿易協議の交渉次第では制裁関税引き上げも辞さない強硬姿勢を見せたことや中国の景気減速懸念などを背景にリスク回避の円買いが優勢となり、108 円台前半まで円高に進みました。その後は、米中通商合意への期待感から、円売りに転じ、108 円台後半まで水準を切り返しました。
 18 日には、米国長期金利上昇などを眺めた円売りに一時109 円台前半まで円安に進むも、米中貿易協議を巡り、米国側の楽観的な見方に対し、中国側が悲観的な見方になっているとの一部報道を受け、リスク回避の円買いが優勢に。109 円付近から一時108 円台前半まで円高に進みました。その後は、通商協議進展への期待と難航懸念が交錯する中、108 円台半ばから後半での小動きに終始しました。
 月末にかけては、米中貿易協議進展への期待が再び高まる中、円売りが優勢に。米国第3 四半期国内総生産(GDP)改定値など主要米国経済指標の良好な結果も円売り材料となる中、5 月末以来約半年ぶりの円安水準となる109.50 円台を付けました。その後も同水準での推移が続き、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 米中貿易協議進展への期待から約半年ぶりの円安水準を付けているものの、制裁関税発動期限を控える中、協議長期化懸念が燻り続けていることや、香港・北朝鮮などの地政学的リスクが意識されている中では、一方的な円安には進みにくいと思われます。

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