貴金属市場の動向

2017年5月

株式会社 徳力本店 地金部 地金課 金塚 美智子

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 5月の動き
金価格チャート
金市場の動向
 1,270 ドル付近で始まった5 月のドル建て金相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の行方を見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がったものの、米雇用統計の前哨戦となるADP 全米雇用報告の市場予想を上回る結果を受け、売りが優勢となり、1,250 ドルの節目割れまで水準を切り下げました。2 日のFOMC 後の声明では、第1 四半期の経済減速には楽観的な見方で、6 月追加利上げを意識するような内容に捉えられたことを受け、外為市場でドル高が進み、金は更に売られ、下げ幅を拡大していきました。
 5 日に公表された4 月米雇用統計では、非農業部門就業者数が市場予想を上回り、失業率が約10 年ぶりの低水準を記録したことで、6 月追加利上げが更に意識される中、金売りが続き、1,220 ドル台まで下落し、日本がゴールデンウィーク中の5月に入ってからの一週間で40 ドル超水準を切り下げました。
 7 日に決選投票が行われたフランス大統領選挙では、事前の予想通り、中道系独立候補のマクロン氏が勝利を収めたことで、リスク回避姿勢が和らぐ中、外為市場でのドル高も圧迫材料となり、1,220 ドルを割り込む場面が見られました。
 しかし、FBI 長官の解任、ロシアへの機密情報漏えいなどによるトランプ米大統領の政権運営に対する不透明感や北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射を背景とした地政学的リスクの高まりを受け、「質への逃避先」として金が選好され、上昇基調へ転じました。外為市場でのドル安進行や、英国マンチェスターでの爆弾テロ事件なども相場支援材料となり、5 月初めから削った分の下げ幅を全て取り戻し、1,260 ドル台まで水準を切り上げました。
 英国の総選挙を6 月8 日に控え事前に実施された世論調査にて、メイ首相率いる保守党と最大野党:労働党の支持率の差が縮小していることが明らかとなり、今後のEU 離脱を巡る交渉に不透明感が広がったことで、金買いが更に進み、1,270ドルに迫る付近まで水準を切り上げました。
今後の見通し
 米国6 月追加利上げは市場内で既に織り込み済みのため、利上げが実施されたとしても金相場が一段安になることは考えにくいと思われます。また、欧米での政治的リスク、北朝鮮情勢をはじめとした地政学的リスクが引き続き燻っていることもあり、底堅い推移が続くと思われます。

プラチナ市場の動向 5月の動き
プラチナ価格チャート
プラチナ市場の動向
 946 ドル付近で始まった5 月のドル建てプラチナ相場は、米国の労働指標の堅調な内容に売りが優勢となった金の値動きに連れた他、主要需要国の1 つである中国の景気減速懸念が重石となり、日本がゴールデンウィーク中の4 日には、2016 年12 月末以来の安値圏となる900 ドル割れまで水準を切り下げました。
  しかし、貴金属調査会社が公表した2017 年プラチナ平均価格見通しにて、鉱山会社からの生産減少を背景に1,000 ドル強と強気の予想を示したことが支援材料となった他、トランプ米政権の先行き不透明感、北朝鮮情勢不安による地政学的リスクの高まりを受け上昇基調に転じた金にプラチナも追随し、安値圏から一本調子で上伸していき、950 ドル台まで切り返しました。
 プラチナ独自の手掛かり材料に引き続き乏しい中、ドル安、欧米株式市場の堅調推移、金の上昇に下支えされ、26 日には970 ドルに迫る付近まで上伸する場面が見られました。
 月末にかけては、直近高値を更新したことによる利食い売りなどに押され、950ドル付近まで水準を切り下げ、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 引き続きプラチナ独自の新規手掛かり材料に欠けているため、姉妹メタルである金相場に連動した値動きが続くと思われます。ただ、需給のバランスの緩み、プラチナ最大の産出国である南アフリカの情勢不安などの悪材料が出尽くし、好転しない限り、上昇のきっかけは掴みづらいと思われます。



為替市場の動向 5月の動き
ドル円為替チャート
為替市場の動向
 111 円台前半で始まった5 月のドル円相場は、米国議会与党幹部らによる9 月末までの予算を纏めることへの合意を背景に112 円を試す付近まで円安に進みました。
 2 日の米FOMC 後の声明では、6 月追加利上げに前向きな姿勢が示されたことで、円売りが優勢となり、112 円台後半まで円安に進み、日本がゴールデンウィーク中の4 日には、3 月中旬以来の水準となる113 円台前半を付ける場面が見られました。
 7 日のフランス大統領選挙決選投票では、中道系独立候補のマクロン氏が勝利し、政治的リスクが後退した他、米ボストン連銀総裁による年内あと3 回の追加利上げが適切とのタカ派発言が円売りを加速させ、114.20 円台まで円安に進みました。
 ただ、北朝鮮による相次ぐミサイル発射を背景とした地政学的リスクの高まりやトランプ米大統領の政権運営に対する不透明感が燻る中、円買いに転じ、17 日から18 日にかけての2 日間で3 円超円高に進み、一時110 円台前半まで円高に進む場面が見られました。急速に進んだ円高への反動による円売りが入ったことに加え、新規手掛かり材料にも欠ける中、その後は111 円~ 112 円付近での小動きが続きました。
 22 日の英国での爆弾テロ、イタリア総選挙の前倒し観測、ギリシャ支援問題懸念など、欧米の政治的リスク、地政学的リスクが意識され続ける中、再び円買いに転じ、110.60 円台でこの月の取引を終えました。
今後の見通し
 米トランプ政権の政策運営に対する先行き不安や北朝鮮情勢をはじめとした地政学的リスクが意識される中、114 円台前半から110 円台まで3 円超円高に進みました。
 米国6 月追加利上げは既に織り込み済みで、その後の利上げペースも緩やかになるとの見方が広がっていることに加え、欧米の政治的リスク、地政学的リスクの面を考慮すると、極端な円安方向には動きにくいと思われます。

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