貴金属市場の動向

2019年6月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 6月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,310 ドル台半ばでスタートした金相場は、前週末に発表された米国によるメキシコへの制裁関税発動表明による世界経済の減速懸念を受け上昇する展開。4 日には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が米国とその主要貿易国との対立を背景に利下げの可能性を示唆。この利下げ観測を支援材料に金価格は1,330ドルを突破すると、7 日に発表された5 月の米雇用統計についても農業部門就業者数が市場予想を大幅に下回るなど低調な内容であったことから、1,340 ドル台まで上伸した。
 しかし、10 日にトランプ米政権がメキシコとの不法移民対策合意を発表、制裁関税を無期限に見送る事を表明した事で1,320 ドル台まで下落するも、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃を巡り米国とイランの軍事的緊張の高まりを受け再び上昇、14 日には1,350 ドル台を突破した。
 その後は、米利下げ観測期待やECBのドラギ総裁による金融緩和策実施示唆等の要因に下支えされながらも、G20 にあわせ米中首脳会談実施表明によるドル高などの要因で上値が抑えられる中1,340 ドル台で推移が続いた。
 18 -19 日で開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、同声明で年内の利下げが示唆され、早ければ7 月にも利下げが実施されるとの見方が広がった。これを受けて金買いが加速、20 日に1,370 ドル後半を付けると、24 日には1,400ドル台まで水準を切り上げ、米国によるイランへの大規模経済制裁が表明された事で25 日は1,430 ドル台まで大幅に上伸した。
 ただ、FRBのパウエル議長含め、複数のFRB高官が利下げに対し慎重な姿勢を示した事で早期の利下げ観測期待が後退すると、これまでの大幅な上昇による利益確定の売り等にも押され下落する展開。26 日に1,400 ドル台前半まで急落すると、その後は29 日開催予定の米中首脳会談を控え様子見ムードが広がり、1,400 ドル台後半を付けて取引を終了した。
今後の見通し
 米中の貿易交渉は再開されることで合意されるも、その行方に関する不確実性や米・イラン間の緊張がリスク要因として散見され、米雇用統計等の経済指標次第では、7 月末に開催されるFOMCでの利下げも現実味を帯びる中、金価格は底堅く推移すると思われる。

プラチナ市場の動向 6月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 800 ドル台でスタートしたプラチナ相場は、FRBのパウエル議長による利下げの可能性を示唆する発言を受け、金価格や株価が上伸し外国為替市場ではドル安・ユーロ高が進行した。プラチナ価格もこれに追随、5 日は820 ドル台後半まで上昇した。しかし、米ISM が発表した5 月の非製造業景況指数が良好であったことでドルが買い戻される展開となると、6 日には再び800 ドル台まで下落した。
 その後は概ね790 ドル後半から810 ドル台前半の狭いレンジでの取引が続く。パラジウムやロジウムの大幅な上昇を受け12 日には810 ドルまで上昇するも追随できず失速、17 日には800 ドル台を割り込む展開となるも、G20 に合わせて米中首脳会談開催の表明やECBによる金融緩和策示唆による株高により18 日には800 ドル台を回復。20 日にはF O M C の声明による金価格上昇を受け再び810ドル台まで上伸した。
 以降は概ね金に追随する展開。26 日に複数のFRB長官による利下げ観測に対する慎重な発言から、早期の利下げ観測期待が後退、金価格や株価の下落に追随し800 ドル前半まで値を下げるもその後は上伸、28 日には810 ドル台後半まで値を上げて月内の取引終了を終了した。
今後の見通し
 6 月に南アフリカにて鉱山労働者・建設組合連合(AMCU)による労使交渉開始のニュースも現状価格に影響を及ぼしておらず、需要面に関しても悲観的な見通しであることにあまり変化はない。安値拾いでの買いが入り一時的に上昇する局面はあり得るも、総じて上値が重い展開は継続すると思われる。



為替市場の動向 6月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 108 円台前半でスタートしたドル円相場は、前週末の米国によるメキシコへの制裁関税の表明によるドル売り・円買いの流れが継続。4 日にはFRBのパウエル議長の発言を受けた利下げ観測の強まりを受け、107 円台後半まで下落した。しかし、利下げへの思惑が株価の押し上げ要因となり、株価が堅調に推移する中で108 円台を回復。7 日に発表された米雇用統計は市場予想を下回る低調な内容であり、ドル円相場は一時的に108 円台を割り込むも、米国のメキシコに対する制裁関税の無期限延期を受け、投資家のリスク回避姿勢が後退、ドルは買い戻され108 円台半ばまで再び上伸した。
 その後は米利下げへの期待、低調な米経済指標、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃による米・イラン間の軍事的緊張等、変動材料が入り混じる展開となったものの、為替は概ね108 円台半ばでの推移が続いた。
 しかし、19 日午後に発表されたF O M C 声明にて、年内に利下げに動く可能性を示唆、米国の利下げ観測が一段と強まる中で円買い・ドル売りが進行、20 日に108 円を割り込み107 円台後半まで下落すると、米無人機をイランが撃墜した事に端を発する米・イラン間の対立激化も安全通貨とされる円買いの支援材料となり、25 日には107 円台前半まで落ち込んだ。
 以降は、G20 にあわせて29 日に開催予定の米中首脳会談における通商協議の進展期待から107 円台後半まで上伸し、今月の取引を終了した。
今後の見通し
 米中貿易交渉の行方等、リスク要因を抱える中で一方的に円安方向に進むとは考えにくい。今後発表される米雇用統計をはじめとした経済指標次第ではあるものの、7 月のF O M C にて利下げが実施されるようであれば、もう一段円高・ドル安が進むと予測する。

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