貴金属市場の動向

2017年2月

株式会社 徳力本店 地金部 地金課 金塚 美智子

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 2月の動き
金価格チャート
金市場の動向
 1,210 ドル付近で始まった2 月のドル建て金相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控え、様子見ムードが広がる中、米雇用統計の前哨戦となる1 月ADP 全米雇用報告の市場予想を上回る結果を受け、売りが優勢となり、1,200ドルの節目を割り込む場面が見られました。FOMC 後の声明では、3 月利上げを強く示唆するようなタカ派的な要素が見られなかったことに加え、トランプ米新政権による入国管理強化を背景とした混乱が続く中、安全資産とされる金を買う動きが強まり、昨年11 月中旬以来の高値となる1,224 ドル付近まで上伸しました。
 3 日に公表された1 月米雇用統計では、非農業部門就業者数が4 か月ぶりの増加幅を記録したものの、平均時給の伸びが鈍化したため、早期追加利上げ観測が後退し、米長期金利が低下したことが支援材料となり、1,230 ドル台まで水準を切り上げました。
 トランプ米大統領の政権運営に対する先行き不透明感に加え、欧州連合(EU)主要国で国政選挙が今後相次いで予定されており、極右政党が台頭する恐れが出てきていることもリスク回避先として金買いを後押ししており、上昇基調が続きました。一方で、トランプ政権による大幅減税措置への期待感を背景にニューヨークダウ平均株価が連日史上最高値を更新したことが重石となり、小緩む場面も見られました。
 1,220 ドル~ 1,230 ドル付近の狭いレンジ内での推移が続く中、23 日に公表されたFOMC 議事要旨で3 月利上げへの明確な手掛かりが見受けられなかった他、米財務長官の税制改革についての発言で具体的な内容が示されなかったことを受け、外為市場ではドル安が進み、割安感から金買いが優勢となり、1,250 ドル台まで大きく水準を切り上げました。
 その後もドル安が支援材料となり、昨年11 月初旬以来約3 か月ぶりの高値となる1,265 ドル付近まで上昇したものの、トランプ大統領の議会演説を控える中、調整売りに地合いを緩め、1,250 ドル付近でこの月の取引を終えました。
2月 ロンドン値決価格 

高値 $ 1,257.20( 27 日) 平均$ 1,233.88
安値 $ 1,203.65( 1 日)

今後の見通し
 FRB 高官らによる3 月利上げに前向きなタカ派発言が金相場への重石となるものの、米国新政権の政策先行き不透明感や、欧州主要国での国政選挙を巡る不透明感が燻っており、リスク回避目的の面が重要視されれば、底堅い推移が続くと予想されます。

プラチナ市場の動向 2月の動き
プラチナ価格チャート
プラチナ市場の動向
 995 ドル付近で始まった2 月のドル建てプラチナ相場は、欧米株式市場や原油先物相場の堅調推移を好感した他、金相場の上昇に連れ高となり、昨年11 月初旬以来の高値となる1,015 ドル付近まで上伸しました。高値を付けたことによる反動から売りに押され、1,000 ドルの節目を割り込む場面が見られたものの、米雇用統計の結果、トランプ米大統領の政権運営に対する不透明感、欧州主要国での政治的不透明感を背景に上昇基調が続く金相場に追随し、1,020 ドル台に乗せました。
  プラチナ独自の新規手掛かり材料に乏しい中、トランプ政権による大幅減税措置への期待感からNY ダウ平均株価が連日史上最高値を更新したことが、工業用メタルとしての側面を持つプラチナの支援材料となり、1,030 ドル付近まで上伸したものの、外為市場でのドル高進行が重石となり、再び1,000 ドルの節目を割り込み、水準を切り下げました。
 その後は、安値拾いの買いや欧米株式市場の堅調推移、金相場の上昇に下支えされた他、23 日に公表されたFOMC 議事要旨で3 月利上げへの手掛かりとなるような内容が見受けられなかったことや米財務長官の発言で税制改革の具体的な内容が示されなかったことを受け、外為市場でドル安が進行したことも支援材料となり、上げ幅を急速に拡大し、昨年9 月以来の高値となる1,048 ドル付近まで水準を切り上げました。
 月末にかけては米国株式市場の上昇一服や利益確定の売りに押され、1,025 ドル付近まで水準を下げ、この月の取引を終えました。
2月 ロンドン値決価格 

高値 $ 1,033.00( 27 日) 平均$ 1,066.88
安値 $ 988.00( 21 日)

今後の見通し
 引き続きプラチナ独自の新規手掛かり材料に欠けているため、姉妹メタルである金相場に連れる展開が続くと予想されます。



為替市場の動向 2月の動き
ドル円為替チャート
為替市場の動向
 112 円台後半で始まった2 月のドル円相場は、米雇用統計の前哨戦となる1 月ADP 全米雇用報告の市場予想を上回る結果に円売りが活発となり、114 円手前まで円安に進んだものの、FOMC 後の声明で追加利上げに対しタカ派的な要素が見受けられず、一転して円買いが優勢となり、113 円台前半まで戻しました。
 3 日に公表された1 月米雇用統計では、非農業部門就業者数が市場予想を大きく上回る結果となったものの、平均時給の伸びが鈍化したことで、早期追加利上げ観測が後退する中、円が買われ、一時112.30 円台まで円高に進みました。
 トランプ米大統領の政権運営に対する不透明感や欧州主要国での政局不透明感などを背景に米長期金利が低下する中、リスク回避の円買いが更に強まり、昨年11月末以来約2 か月ぶりに111 円台後半を付ける場面が見られました。一方で、トランプ政権が掲げる大規模減税政策への期待感からNY ダウ平均株価が連日最高値を更新するなど世界的に株高となる中、リスク選好意欲が高まり、円は売りに晒され、円安方向に進み始めました。また、イエレンFRB 議長を筆頭にFRB 高官らの相次ぐ早期追加利上げを容認するタカ派発言も円売りを加速させ、15 日には115円に迫る付近まで円安に進みました。
 円売りの流れが一巡し、112 円台後半~ 113 円台後半での値動きが続く中、米財務長官による税制改革の発言で具体的な内容が示されなかったことを受け、失望感による円買いが加速し、112 円を割り込んだものの、トランプ米大統領の議会演説を控え、様子見ムードが広がり、112 円台前半での推移が続き、この月の取引を終えました。           

2月 TTM

※高値安値はドルから見たものです。

高値 114.50 円(15 日) 平均113.11 円
安値 111.75 円( 7 日)

今後の見通し
 米新政権の大幅減税政策への期待感から長期金利上昇、米国株式の連日に及ぶ史上最高値の更新に連れ、円売りが進んだものの、依然として政策への不透明感は燻っています。また、3 月利上げ観測も広がってはいるものの、米欧政局の不透明感が拭えない状況下では、リスク回避目的の円買いが強まる局面が出てくるものと予想されます。

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