貴金属市場の動向

2019年9月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 9月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1520 ドル台半ばでスタートした金相場は、1日に米中両国が双方の輸入品に対する制裁・報復関税を拡大したことによる世界経済の先行き懸念から上昇。欧米株価が全面安となり、英国のEU 離脱を巡る不透明感も相場を後押しし、4 日には1,540 ドル台まで上伸した。
 しかし、米中が10 月上旬に貿易協議を行うと発表した事を受け、貿易摩擦緩和への期待が広がった他、ADP 全米雇用報告、米ISM 製造業景況指数が堅調な内容で株価が大幅上昇した事を受け、金は売りが優勢な展開に。8 月の米雇用統計の非農業部門就業者数が市場予想を下回った事で一時金を買う動きが優勢となる場面も見られたものの、米FRB 議長が景気後退を予想していないと言及した事で売り優勢に転じ、11 日には1,490 ドル台まで下落した。
 その後、ECB 理事会でマイナス金利の更なる引き下げと量的緩和の再開が決定、金価格は12 日に1,510 ドル台まで上伸。米中の貿易協議進展期待から一時1,500ドル台を割り込んだが、サウジアラムコの石油施設が無人機の攻撃を受けた事で再び1,500 ドル台を回復した。
 17、18 日に開催されたFOMC では、0.25%の利下げを決定したが、公表された見通しでは今回で利下げが打ち止めとなる事が示唆された。市場予想よりもFRBが追加利下げに慎重である事が示された事で、金価格は一時下落するも、サウジアラムコの石油施設攻撃に米国がイランの関与を主張、イラン中央銀行に対する制裁措置を発表する等、中東情勢に関する地政学的リスクの高まりやユーロ圏の景気先行き懸念が浮上した事で、25 日には1,520 ドル台後半まで上伸した。
 その後は、米中の閣僚級貿易会議が10 月第2 週に開催される事が発表された他、外国為替市場でのドル高・ユーロ安、利益確定の売りに圧され、金価格は30 日に1480 ドル台まで値を下げて取引を終了した。
今後の見通し
 米中貿易協議の行方、10 月末で期限を迎えるBrexit 問題、緊迫する中東情勢などリスク要因が散見される事から、足元の価格は下落しているものの、底堅く推移すると予想する。

プラチナ市場の動向 9月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 920 ドル台後半でスタートしたプラチナ相場は概ね金価格に追随する値動き。1 日の米中両国の報復・制裁関税の拡大により、金価格が上昇するのに連れて上伸。4 日には香港政府による「逃亡犯条例」改正案の撤回や、中国の経済指標改善を受けて株価の上昇にも支えられ970 ドル台後半まで大幅上伸するも、以降は買い過剰感からの利益確定売りが先行する展開。10 日には940 ドルを割り込んだ。
 その後、ECB 理事会で金融緩和措置が決まり景気の押し上げ期待から欧米株価が堅調に推移したことや、南アフリカでの白金鉱山会社と労働組合の交渉が難航していることを手がかりに13 日には950 ドル台後半まで上伸するも、金価格の下落に追随、17 日には930 ドル台後半まで下落する展開。FOMC 声明後も、金に連れて一時下落する場面も見られたが、同じ白金族系の貴金属であるパラジウムの上昇にも支えられ、概ね930 ドル後半で推移した。
 23 日には、ユーロ圏の景気先行き懸念などの材料による金の堅調さに支えられ950 ドル台まで上伸するも、利益確定売りに圧された金下落、堅調に推移するドルを眺めてプラチナは売りが膨らむ展開。30 日には900 ドルを付けて取引終了となった。
今後の見通し
 工業需要の面ではあまり材料が見られないものの、ETF への投資資金の流入は9 月も継続しており、労使交渉の行方や電力問題などの供給面でのリスクも見られる。上値は限定されるも、底堅く推移すると予想する。



為替市場の動向 9月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 106 円台前半でスタートしたドル円相場は、米中両国の制裁・報復関税の拡大により、ドル売り・円買いが進み、4 日は105 円台後半まで値を落とした。
 しかし、5 日に米中両国が10 月初旬に閣僚級の通商交渉を開催する事で合意すると円は売られる展開に。8 月の米雇用統計を受けて一時円高に振れる場面も見られたが、中国政府が追加関税対象から一部米国の製品を除外するなど米中貿易協議の進展期待や、ECB 理事会でのマイナス金利引き下げと量的緩和の再開による対ユーロでのドル高の影響により19 日には108 円台半ばまで上伸した。
 FOMC 後の声明やFRB 議長の発言は予想よりもタカ派と受け止められ、ドル高・円安が進むも、その後の日銀金融政策会合で政策の現状維持が決まり、一転ドル安・円高に。トランプ米大統領が24 日に行った国連総会での一般討論演説にて、イランに対する「最大限の圧力」をかけることへの同調を各国に求めた他、中国に対しても不公正な貿易慣行などに言及する等、米国の対イラン、対中国での緊張が高まる中で25 日は107 円台前半まで下落。その後は値を戻し107 円台後半で取引を終了した。
今後の見通し
 FOMC による年内の利下げ打ち止めが示唆されたものの、世界経済減速懸念は根強く、米・イラン間の対立や10 月末で期限を迎えるBrexit 問題も控える。米中の貿易協議の行方によっては円安に傾くこともあれど、総じて円買いが優勢な地合いになると予想する。

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