2018年7月 | 一般社団法人 日本金地金流通協会

貴金属市場の動向

2018年7月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 マーケティングセクション 今村 卓二

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 7月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,249 ドルでスタートした7 月のドル建て金相場は、力強い米経済指標を受けドルが主要通貨に対して上昇したことで1,240 ドル近辺まで値を落とした。しかし、米中輸入関税発動を控えた緊張感の高まりに米株安や米国債利回りが低下する中でドルが軟調となり、1,250 ドル台中盤まで反発。その後、同国独立記念日を挟んで1,255 ドル近辺で方向感に欠ける展開となったあと、6 日発表の米6 月雇用統計で失業率の悪化と平均時給の伸びが限定的となったことから米利上げペースの後退が意識され、ドルが弱含むと徐々に下値を切り上げると9 日には月間最高値の1,262.60 ドルまで上伸。
 その後は米国が中国に2,000 億ドル相当の中国製品に関税を適用する方針を表明したことからドル売りの場面が見られたものの、好調な米経済指標を背景にドルが買い戻され、1,240 ドル近辺まで下げ幅を拡大。
 パウエルFRB 議長が議会証言でこれまでの段階的な政策金利の引き上げを維持するとの見通しを示したことで、19 日には月間最安値の1,217.40 ドルまで続落。その後、米大統領が中国からの輸入品5,000 億ドルに関税をかける準備ができていると明らかにしたことやEU や中国が自国通貨安を誘導していると非難したことから大規模なドル売りとなり、1,230 ドル台中盤まで値を戻した。しかしその後は上昇余地に乏しい中、米通商代表が北米自由貿易協定再交渉での合意に楽観的な発言をしたことで世界的な貿易摩擦懸念がやや緩和されたことから1,220 ドル台中盤まで下落。月末にかけて1,220 ドル近辺で揉み合う展開を経て、31 日には1,220.95 ドルで終了。
今後の見通し
 8 月のFOMC では追加利上げは見送られたものの、既定の利上げ路線には変更がないと考えられ、世界的な貿易摩擦懸念から新興国通貨や商品市場全般から資金流出が加速する中、金相場の上値は抑えられる展開となるだろう。一方で、北朝鮮・中東情勢などの地政学上のリスクは依然くすぶっていることから下値は支えられ、比較的狭いレンジで推移すると予想する。

プラチナ市場の動向 7月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 842 ドルでスタートした7 月のプラチナ相場は、米中通商問題悪化への警戒感や中国株・非鉄金属相場の下落を嫌気して投機筋を中心とした売りが旺盛となり、一時800 ドルを割り込む水準まで急落。その後はドル高の一服から上昇する金相場の後押しもあり、850 ドル台まで大幅反発に転じた後は840 ドルを挟んだレンジ相場が続いた。6 日には米6 月雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数に増加は見られたものの、賃金の伸びや失業率は良化したとは言えず、欧州の中銀高官によるマイナス金利について否定的な見解も相俟ってドル売りが優勢となる中、9日には月間最高値の857 ドルまで急騰。
 その後は月央にかけて米中報復関税の行方に悲観的な見方が台頭する中、商品市場全般に積極的な買いは入りにくく、徐々に上値を切り下げる展開から19 日のロンドン時間午後には月間最安値の798 ドルまで大幅下落。しかし、このレベルでは実需のまとまった買いも見られ、米大統領によるドル高けん制発言や下値を確認した安心感から840 ドル付近まで値を戻すものの、25 日には米トランプと欧州ユンケルEU 委員長による会談で貿易戦争が回避される見通しとなったことから再びドルが急速に買い戻され、投機筋の売りを誘う展開から820 ドル近辺まで値を落とした。月末には831 ドル付近まで買い戻されて終了。
今後の見通し
 欧州では乗用車に占めるディーゼル車とガソリン車のシェアが逆転。加えて、大手自動車メーカーも欧州でのディーゼル車生産から相次ぎ撤退を表明するなど、ディーゼル車向け触媒需要の先行き見通しに悲観的な見方が広がる中で積極的な買いは手控えられるだろうが、短期的には投機筋が主導するポジション調整には注意が必要だろう。



為替市場の動向 7月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場の動向
 110.87 円でスタートした7 月のドル円為替相場は、米中貿易摩擦懸念を背景に3 日には月間最安値の110.37 円までドル安が進んだ。6 日には米7 月雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数は増加したものの、賃金等の伸びは限定的となった。その後は米長期金利の利回り上昇や堅調な米国株を背景に111 円を突破すると、人民元を中心とした新興国通貨が対ドルで下落したことなどから112 円まで続伸。その後もこの円安基調を維持し、17 日の米FRB 議長による議会証言で米国経済に対する楽観的な見方が示されたことや堅調に推移する米国株を材料にドル買いの流れは続き、翌18 日には月間最高値の113.01 円まで上値を伸ばした。
 月後半にかけて、米トランプ大統領が現行のFRB の利上げ見通しに対する不満に言及したことや対中貿易の追加関税を示唆したことなどから、112 円台前半まで急落。
 23 日には日本銀行が金融政策の修正を検討との報道から110.90 円まで急落したものの、月末31 日には本邦金融政策決定会合で長期金利目標が据え置かれたことを材料に円安が進行することとなり、111.01 円まで値を戻して越月した。
今後の見通し
 直近の米FOMC では利上げは見送られたものの、景気判断を上方修正するなど今後も段階的な金利引き上げを実施するとみられる。次回FOMC 会合の9 月には金利引き上げが実施されると想定しているが、依然と資金流入が続く米国株も相俟って、基本的にはドル選好の動きは今後も続いていくとみられる。ただし、米大統領は7 月に入りFRB の金融政策に対する不満やドル高をけん制する発言がみられ、日本銀行も過日の金融政策決定会合を経て現行水準から大きく円安が進むとは想定しづらい。

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