貴金属市場の動向

2019年4月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 マーケティングセクション 今村 卓二

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 4月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,291.90 ドルでスタートした4 月のドル建て金相場は、米3 月雇用統計発表を前に1,280 ドル台中盤から1,290 ドル台中盤で推移。同指標では雇用者数の伸びは市場予想を上回った一方、平均時給の伸び率が低下したことから反応は限定的だった。その後は、トランプ米大統領のFRB への利下げ要求や量的緩和を再開すべきとの発言、IMF が2019 年世界成長率見通しを下方修正したこと、米欧貿易摩擦への懸念などを背景に1,300 ドル台を突破すると、10 日には月間最高値の1,305.45 ドルまで続伸。
 しかし、その後発表された米国や中国の経済指標が良好な結果だったことで、世界経済の先行き見通しに対して過度に悲観的な見方は後退しドル高が進むと1,280ドル台中盤まで急落。その後も、米企業の好決算を背景に米株式高・ドル高となったことから上値を削り23 日には年初来安値の1,269.50 ドルまで下落。月末にかけて、米長期国債利回り低下を受けて1,280 ドルを回復すると30 日には1,282.30で終了。
今後の見通し
 IMF による世界経済見通しの下方修正にあるように、世界経済の先行き見通しに減速感が漂う中で米FRB は段階的な政策金利引き上げは停止しており、景気下振れリスクを警戒して、市場はFRB の利下げすら織り込んでいると考えられる。米中通商問題や英ブレグジットの行方など地政学的な要因も波乱含みで、総じて堅調地合いを維持すると予想する。

プラチナ市場の動向 4月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 848 ドルでスタートした4 月のドル建てプラチナ相場は先月末の下落基調を引き継ぎ、翌2 日に月間最安値の846 ドルまで下落。その後は、主要生産国である南アフリカにおける不安定な電力供給問題や好調な中国経済指標を受けて、昨年6月以来となる900 ドルを突破すると8 日には月間最高値の914 ドルまで上昇。
 その後は、IMF 発表の世界成長率見通しの下方修正を受け900 ドルを割り込むと、構造的な需要不足を背景に反発する手掛かりに欠ける中、上値の重い展開が続き30 日には889 ドルまで値を落として終了。
今後の見通し
 主要生産国である南アフリカの慢性的な電力不足問題や同国鉱山会社の労使交渉など価格を下支えする材料には事欠かないが、欧州のディーゼル車離れや中国の宝飾需要減少などにみる需要不足が顕著で、引き続き上値の重い展開を予想せざるを得ない。



為替市場の動向 4月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 月間最安値の111.10 円でスタートした4 月の為替相場は、1 日発表の米3 月ISM 景況指数が市場予想を上回り111.40 円近辺まで上昇すると、米新規失業保険申請件数が低水準を記録したほか、米中通商問題への合意に向けた楽観的な見方も相俟って111.80 円近辺まで続伸。その後は、IMF が世界成長予想を金融危機以降、最低水準に下方修正したことからドル売り円買いが強まり月間最安値と同値付近まで反落した。
 しかし、米3 月卸売物価指数が市場予想を上回ったことで上昇に転じると、米長期金利の上昇や、本邦財務相の発言を受けて円売りが強まり111.70 円近辺まで値を伸ばした。引き続き堅調地合いを維持する中で、米中貿易戦争の影響で縮小していた中国貿易収支が市場予想を大幅に上回ると112 円近辺まで続伸。その後も、弱い欧州経済指標を背景に対ユーロでドル買いが進む中、ドル円も112 円を上抜け25 日には年初来高値の112.28 円まで上昇。買いが一巡すると翌26 日には111.85 円まで値を下げて終了。
今後の見通し
 世界経済の先行き見通しの不確実性に米経済指標は現状、力強さを維持しているものの、ドル金利の上昇は当面考えにくいことから、急激なドル高・円安局面までは想定していない。

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