貴金属市場の動向

2018年3月

石福金属興業株式会社 蔭山 雅晴

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 3月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,300 ドル台でスタートした金相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が今後の利上げについて前向きな姿勢を示したことから売りが先行。その後は、トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動する方針を表明し、ドル安が進んだことで1,330 ドル台まで上昇。コーン国家経済会議(NEC)委員長の辞任表明を受けて、トランプ政権の政策運営に対する懸念が強まったことも買いを促した。
 その後は、良好な米経済指標が相次いだほか、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長と会談する用意があると表明したことを受けてドル高が進み、1,310 ドル台に下落。月半ばから後半にかけては、ティラーソン国務長官の解任発表や米国の保護主義的な政策への懸念、2016 年の米大統領選におけるフェイスブックの個人データ不正流用問題などを背景に上昇する場面も見られた。ただ、利上げが確実視される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、上値の重い展開となった。
 20 ─ 21 日に開催されたFOMC では、大方の予想通り利上げが決定されたものの、年内の利上げ想定回数はこれまでの3 回が維持されたことでドル安が進行。これを受けて金は1,330 ドル台に上昇。また、米中貿易摩擦への懸念が強まる中、株価が急落したことも安全資産としての買いを促し、1,350 ドル近辺まで値を伸ばした。
 米欧とロシアの対立を背景に安全資産の買いが継続、前週末に起こった米中貿易戦争の懸念は、両国が貿易摩擦激化を回避するために水面下交渉を開始したとの報道があり一時はリスクが和らいだ。しかし英国で起きた元ロシア情報員暗殺未遂事件をめぐって、米国や欧州連合各国がロシア外交官を追放する方針を決定し、ロシアの対抗措置も予測されており、対立を深める懸念が生じている。市場は再びリスク回避ムードとなり、ドル安にも支援され上伸した。
 月末には昨年第4四半期の米国内総生産(GDP)が上方修正されると、これをきっかけにドル買いが活発になり、金相場はしだいに値を下げていった。
 その後、イースター連休を控えて商いが限定的になるなか、ドルが対ユーロで強含みに展開したため売り圧力がかかった。
今後の見通し
 金相場は、このところ1,300 ドル台をキープして安定している。ニューヨーク株式相場は、レンジの幅が狭くなりつつある。また、トランプ政権の貿易赤字解消・保護貿易の動きにより、ドル相場が下落傾向となり、金相場を支えている背景もある。
 この動きの変化点は、米国と北朝鮮の首脳会談の前後と思われる。

プラチナ市場の動向 3月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 960 ドル台でスタートしたプラチナ相場は、金やパラジウムの下落を受けて売りが先行。良好な米経済指標やドル高にも圧迫され、9 日には940 ドル台まで下落した。月半ばから後半にかけては、米国の政治不安などを背景に金が上昇したことで960 ドル台に上昇したものの、買い一巡後はFOMC での利上げ観測により、940 ドル台に下落した。
 その後は、金の動向を眺めて950 ドル台に反発。米中貿易戦争の回避期待に株式市場が急反発、金相場の堅調にも支えられた結果となった。
 その後、金相場の大幅下落を嫌気して軟調に推移し、920 ~ 930 ドル台で月末を迎えた。
今後の見通し
 依然として確固たる根拠が乏しく、為替市場の動向がカギとなる値動きが続くと思われる。米中貿易戦争の懸念による株式市場の大幅下落がマイナス材料となり、当面上値は限定的と思われる。



為替市場の動向 3月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場の動向
 106 円台でスタートしたドル円相場は、トランプ大統領が鉄鋼・アルミの輸入制限を表明したほか、日銀の黒田総裁が国会答弁で金融緩和の「出口」について言及したことでドル売り・円買いの動きが強まり、105 円台後半に下落した。
 その後は良好な米経済指標が目立ったほか、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長との会談に応じる意向を示したことを受けて107 円近辺まで上昇。月半ばから後半にかけては、米国の政治不安を背景にリスク回避の動きが強まり、105 円台後半に下落した。
 年内の利上げ想定回数はこれまでの3 回が維持されたほか、パウエルFRB 議長の会見も予想されたほどタカ派的な内容ではなかったことからドル安が進行。さらに、米中貿易摩擦への懸念が強まる中、円買い・ドル売りが膨らんだことで104円台後半に下落した。
 月末にかけては、北朝鮮の金正恩委員長と中国の習近平国家主席との会談が明らかになった事を受け、北朝鮮リスクの後退を好感。また、米10 月~ 12 月期国内総生産の確報値が上方修正されたこともドル買い要因となり、一時107 円00 銭まで上昇した。
 月末30 日のドル円は106.20 円付近となった。
今後の見通し
 米連邦準備銀行による利上げペース加速よりもトランプ政権による保護主義的な関税強化による貿易戦争勃発リスクを警戒する動きと予測される。
 ここに、ドル安要因がクローズアップされると、ドル円はもう一段の下値を狙いそうである。

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