貴金属市場の動向

2018年12月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 12月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,230 ドル付近でスタートした12 月の金相場は、G20 首脳会議にあわせて開催された米中首脳会談にて両国間の貿易戦争をひとまず「休戦」とすることで一致したものの、今後の通商協議が難航する懸念が浮上、株価も軟調に推移する中でリスク回避として金が買われる展開。4 日に1,240 ドルを突破すると、NY 連銀総裁の来年の利上げ継続見通しについての発言や利益確定売り等に押され一時値を下げる場面もあったが、米国の要請により中国通信機器大手ファーウェイの副会長が逮捕され、米中摩擦への懸念が燻り続ける中で再び上昇。7 日に発表された米雇用統計の非農業部門就業者数も市場予想を下回り、ドル売りも加速する中、10 日には1,245 ドルまで上昇した。
 その後、メイ英政権が11 日に予定していたEU 離脱合意案の議会採決を延期し、ポンドが急落した事をきっかけに、対ユーロでドル高に転じると金価格は下落。欧州中央銀行(ECB)が量的緩和政策の終了を決定するも2019 年のユーロ圏成長率と物価見通しを下方修正した事や、12 月のユーロ圏製造業PMIや中国の経済指標が冴えない内容であった事も金価格の圧迫要因となり、14 日には1,235 ドル付近まで値を下げた。
 18-19 日の日程で行われたFOMC では想定通り今年4 回目の利上げが発表された。来年の利上げ想定回数については下方修正したものの、段階的な利上げが整合的との見方を崩していない内容であった為、一時的に金が売られる場面も見られた。ただ、世界的な景気減速懸念による日米欧の株価が大幅に下落した事で、リスク回避として金を買う動きが優勢となり、金価格は反発。19 日に1,250 ドル台、24日1,260 ドル台を突破すると、米国の暫定予算失効による一部政府機関の閉鎖の長期化や、安全保障上脅威となる通信機器の使用を禁じる米大統領令が発動されるとの報道による米中貿易摩擦の再燃といった材料にも後押しされ、月末には1,280ドル近辺まで上昇し取引終了となる。
今後の見通し
 FOMC による2019 年の利上げ想定回数が下方修正され、利上げの早期終了観測も出始めたことに加え、英国のEU 離脱に関する不透明感、米中貿易摩擦の再燃などリスク要因が散見される。こうした要因に改善が見られない限り、金価格は今後も底堅く推移すると思われる。

プラチナ市場の動向 12月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 800 ドル台でスタートしたプラチナ相場は、米中貿易戦争の一時休戦を好感した金・株式相場の上昇に支援され、3 日は804 ドル台で推移するも、対イラン制裁違反によるファーウェイ副会長の逮捕等を受けて米中貿易摩擦の解消見通しが懐疑的となり、7 日に発表された米雇用統計の数値も市場予想を下回る中で米株価が反落。プラチナの供給過剰観測にも引き続き圧迫され、790 ドル台を割り込んだ。
 その後、プラチナ相場はドル高・ユーロ安や南ア・ランド安に圧迫され780 ドル台まで下落するも、12 日に実施されたメイ首相に対する不信任投票の結果、メイ首相の続投が決まったことで欧州の政治リスクがある程度後退。投資家のリスク選好を背景とした株価の上昇にも支援され、13 日には一時800 ドル台を回復した。
 しかし、ECB 理事会によるユーロ圏成長率の下方修正や、中国・欧州の経済指標の低下を受け、世界的な景気減速懸念による株価下落に圧迫され、プラチナ相場は再び反落。17 日には780 ドル前半まで値を下げた。
 以降は総じて値動きの少ない展開。18-19 日のFOMC 声明による金価格の上昇、ドル安が支援材料となり790 ドル台まで上昇するも、その後は世界的な景気減速懸念を背景とした株式相場の続落に圧迫されて上値の重い展開が続き、ボクシングデー、クリスマスによる休場等をはさみ、月末に794 ドル近辺をつけ取引終了となる。
今後の見通し
 ディーゼル車、宝飾需要減に伴うプラチナ供給過剰観測を覆すような材料が現状なかなか見当たらず、株価や金価格に連れての上昇はあれど、総じて上値の重い展開が今後も継続すると思われる。



為替市場の動向 12月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 113 円台半ばでスタートしたドル円相場は、米中貿易戦争が一時休戦となる中で、各国の株価が大幅に上昇、11 月の米ISM製造業景況指数も良好な内容であったことを受け113 円台後半まで上昇した。その後、米国債5 年金利と2 年国債金利の逆イールド発生、ファーウェイ副会長が逮捕されたことによる米中貿易摩擦をめぐる懸念が再燃したことを背景として世界的に株安が広がる中で10 日は112 円台半ばまで下落した。
 しかし、11 日にメイ英政権がEU 離脱についての議会採決を見送り、政局の混迷が浮き彫りになる中で、ポンドが急落。これに影響を受ける形でユーロが対ドルで軟調になる中でドル買い円売りが優勢となり、ドルは再び113 円台まで上昇。12 日にはメイ英首相に対する不信任投票の実施、13 日のECB 理事会によってユーロ圏成長率の下方修正が発表される等、ユーロが対ドルで軟調に推移する中で円は売られる展開が続き、14 日には113 円台半ばまで上昇した。
 その後、欧米での株式市場の下落を受けるとリスク回避目的として円買いが優勢となり18 日に113 円台を割り込むと、FOMC 発表前後にて112 円台半ばでもみ合う展開。世界的な景気減速懸念、英国のEU 離脱に関する不透明感も漂う中、米政府機関一部閉鎖の懸念が浮上すると円買いが加速し、25 日には110 円近辺まで下落。以降、米株価の上昇を眺め、月末に111 円近辺をつけて取引終了となる。
今後の見通し
 足元では米国の一部政府機関の閉鎖の長期化懸念に加え、米中貿易摩擦を背景とした景気減速懸念、英国のEU 離脱問題に関する先行き不透明感、FOMC による利上げ想定回数の下方修正といった種々の要因から、総じて円安方向には進みづらい展開が継続すると思われる。

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