貴金属市場の動向

2021年10月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 トレーディングセクション 鈴木 悠介

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 10月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,755.60ドルでスタートした10月のドル建て金相場は月初、市場予想を上回る米経済指標を材料に値を下げると、6日には月間最安値の1,748.25ドルまで下落した。その後は、米国の債務上限問題を受けて買いが強まり1,760ドル近辺まで回復するも、月半ばにかけては新規材料も無く、同値近辺で揉み合う展開が続いた。その後は、米長期金利の上昇が一服し低下に転じたことでドル安が進むと、急速に値を伸ばし1,800ドル近辺まで上昇した。しかし、1,800ドル近辺では上値は重く、米9月小売売上高が市場予想を大幅に上回ったことも相俟って、直近の上げ幅を打ち消し1,760ドル近辺まで急落した。月後半にかけては、世界的に物価上昇懸念が高まっている中で下値を切り上げる展開となり、22日には月間最高値の1,808.25ドルまで上昇した。1,800ドル近辺で揉み合いが続いたあとは、米長期金利の上昇を眺め下落すると、月末29日には1,769.15ドルまで値を下げて終了した。
今後の見通し
 11月の米FOMCで量的金融緩和の段階的縮小を決定。利上げ時期は22年半ば以降との見通しが読み取れるが、米国ではインフレ懸念による長期金利上昇が趨勢的なものとなれば利上げ自体の前倒しもあり得るだろう。一方でデルタ株の感染拡大や中国の不動産セクターの問題等も複雑に絡み合い、金相場はこれらの影響を受けて値動きの荒い相場展開が予想される。

プラチナ市場の動向 10月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 964ドルでスタートした10月のドル建てプラチナ相場は月初、軟調な米株式市場を嫌気した売りから値を下げると、6日には月間最安値の947ドルまで下落した。その後は、米9月ADP雇用統計が市場予想を上回り、市場では早期量的緩和縮小の見方が強まる中で、経済正常化期待から買いが強まり1,000ドルを突破すると、1,040ドル近辺まで急騰した。同水準では利食い売りもみられ、1,000ドル近辺まで下落したものの、弱い米経済指標を材料に対ユーロでドル安が進むと1,060ドルまで値を伸ばした。月後半にかけては、1,040ドルから1,060ドルでレンジ推移となる中、22日には月間最高値の1,063ドルまで上昇した。その後は、市場予想を上回る米経済指標を受けドル高が進むと下落に転じ、月末29日には1,009ドルまで値を下げて終了した。
今後の見通し
 足下の自動車生産台数の減速感や中国宝飾需要の停滞が過度に上値を重くしている面もあり、グリーンエネルギー用途など中長期のレンジでは需要拡大への期待は高い。当面は1,000ドルを挟んで推移する展開を予想する。



為替市場の動向 10月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 111.43円でスタートした10月の為替相場は月初、本邦株式市場が軟調な展開となる中で円買いが強まり、5日には月間最安値の110.91円まで下落した。その後は、米長期金利の上昇や米9月ISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったことなどを受け、111.50円近辺まで上昇した。8日発表の米9月雇用統計では、市場予想を下回ったものの前回値が上方修正され、失業率も予想以上の改善が示されたことでドル買いが強まると、米長期金利の上昇も相俟って年初来高値を更新、113円を上抜ける水準まで急速に上げ幅を拡大した。月半ばにかけても、強い米経済指標を材料にドル買いが進み、20日には月間最高値の114.68円まで騰勢を強めた。2017年以来となる高値となったことで利食い売りが強まり、米長期金利の低下も相俟ってドル売りが優勢となると113.50円近辺まで下落した。月末にかけては、値を動かすほどの材料も無く、同水準での推移となると29日には113.67円で終了した。
今後の見通し
 米金融政策正常化が意識されドル買いが進行中。ただ、既に米利上げは織り込み済みとも考えられ、金融緩和縮小の報が示されても一方的なドル高とはならないであろう。

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