貴金属市場の動向

2022年7月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 トレーディングセクション 鈴木 悠介

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 7月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,795.65ドルでスタートした7月のドル建て金相場は月初、弱い米経済指標を受け景況感が悪化したことで選好され、4日には月間最高値の1,808.40ドルまで上昇した。しかし、欧州でのエネルギー供給問題を背景とした価格の高騰が景気後退懸念を煽り、対ユーロでドルが20年ぶりの高値となると1,740ドル近辺まで急落した。月後半にかけて、米FRBが大幅利上げに踏み切るとの見方が強まる中、徐々に上値を削る展開となると、節目の1,700ドルを割り込み21日には月間最安値の1,686.55ドルまで下落した。同水準では買いが旺盛となったことや、欧州中央銀行が利上げを決定したことでドルが弱含むと、1,720ドル近辺まで回復した。月末にかけては、米FOMC後のパウエル米FRB議長の発言を受け、今後の大幅利上げ観測が後退したことでドル安が進み、月末29日には1,753.40ドルまで続伸して終了した。
今後の見通し
 市場は、米利上げの効果が物価と景気に対して、どの程度影響をもたらすか確認段階に入っているものと思われる。今後発表される経済指標を材料に、米FRBの舵取りを予想した市場の思惑が相場動向に影響を与えると思われ、金相場はこれらの状況を受け、売り買いが交錯しやすい地合いが想定される。夏季休暇シーズンに伴う流動性低下も考えられ、比較的広いレンジで騰落することとなろう。

プラチナ市場の動向 7月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 886ドルでスタートした7月のドル建てプラチナ相場は月初、弱い欧州経済指標を受け対ユーロでドルが強含むと850ドル近辺まで下落した。その後は、市場予想を上回る米6月雇用統計を好感した買いから880ドル近辺まで値を戻すも、エネルギー価格の高騰を背景に欧州経済の後退懸念が意識され徐々に上値を削り、14日には月間最安値の831ドルまで下げ幅を拡大した。月後半にかけて、安値を拾う動きや米株価が反発したことを受け切り返すと、欧州中央銀行の利上げ実施を背景にドル安が進み880ドル近辺まで回復した。月末にかけては、米FRB議長の発言を受け、更にドル安が進行すると28日には月間最高値の890ドルまで続伸した。同水準で揉み合いとなり、月末29日には889ドルで終了した。
今後の見通し
 800ドル台中盤を下回る水準では、アジア圏を中心に比較的まとまった需要がある印象があり、これらが下値を支えている要因と思われる。とはいえ、世界的な利上げの機運は景気減速を想起させ、下押し圧力となろう。双方向に圧力が溜まりやすい状況だけに、跳ねれば大きく値が動きそうではあるが、当面はレンジでの推移を予想する。



為替市場の動向 7月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 135.99円でスタートした7月の為替相場は月初、軟調な米株式市場や弱い米経済指標を材料に、米長期金利が低下するとドル売りが強まり、135.00円近辺まで急落した。その後は、市場予想を上回る米6月雇用統計の結果などを受け136円近辺まで回復すると、本邦中央銀行総裁が大規模金融緩和を継続すると発言したことや、米FRBが大幅利上げを実施するとの見方が強まる中でドルへの資金流入が加速。15日には月間最高値の138.94円まで急騰した。しかし、月後半にかけては、欧州中央銀行が利上げを実施したことで、対ユーロでドル売りが強まり、これがドル円相場にも波及したことに加え、米経済指標が市場予想を下回り景況感が悪化したことも相俟って136.00円近辺まで下落した。月末にかけて、米FOMC後の声明発表を受け、大幅利上げ観測が後退したことでドルから急速に資金流出すると、月末29日には月間最安値の134.61円まで急落して終了した。
今後の見通し
 本年3月以降急速な円安が進み、足もとでは市場が利上げの効果確認へと軸足を移したことで巻き戻しがみられドル高は一服。しかし、緩和的政策を継続している本邦と緊縮的政策を進める欧米諸国の金利差から、基本的にはドル高方向への圧力は継続するだろう。

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