貴金属市場の動向

2024年4月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 トレーディングセクション 奥田 耕介

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 4月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 2,264.55ドルでスタートした4月のドル建て金相場は、欧米がイースター休暇となる中でイスラエル軍がシリアのイラン大使館近辺を空爆したとの報を受けて、地政学的リスクを意識した買いが入り上昇する展開となり始まった。その後も、12日に2,401.50ドルを付けるまで、ほぼ一本調子で上昇した。この間、米3月雇用統計は市場予想に対して大きく上回ったほか、米3月CPIも予想を上回る結果となった。また、3月のFOMC議事録ではインフレが収束しないことへの懸念が示され、これら状況から早期利下げ期待が後退し、長期金利の上昇やドル高が進行したが、中華圏や本邦などの需要は根強くそれらが相場を押し上げる要因となったとみられる。その後、14日にイランがイスラエルへの無人機による報復攻撃を行い、その内容が比較的自制的なものと評価され、月初からの一連の緊張がやや和らぐと、翌日には金相場は2340ドル近辺へと大きく下落した。米小売売上高の好調な結果などを受けて長期金利が昨年10月以来の高い水準へと上昇したことも、金相場の上値を抑える要因になったと思われる。このような状況下で19日にイスラエルがイランを攻撃との報道で一時2400ドル超えまで急騰したものの、基本的にはイラン、イスラエル双方がエスカレートすることを抑制する動きを見せていることで、月初からの一連の上昇が一巡する形となり、売りが先行する展開となった。中国の貴金属を取り扱う取引所での証拠金の引き上げなどの報道もその売りを加速させる結果となり、23日には一時2300ドルを割り込んだ。ただ、月末にかけては2300ドル~2350ドルのレンジでもみ合う展開となり、2307ドルで月を終えた。
今後の見通し
 米国はインフレの抑制にてこずり、その結果金融政策の方向感を明確に打ち出せずにいる状況にある。こういった状況が結果として非西側国家の政府による金の購入を後押しする格好になっており、またそれらの国々でも景気への不安やドル高により通貨安が進む中での懸念も根強く、結果として大衆層も金への関心を向けて相場を押し上げている。欧米ETF等からは資金の流出は見られるものの、売り手としての規模は限定的であり、今後も相場は底堅い展開で推移しよう。

プラチナ市場の動向 4月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 912ドルでスタートした4月のドル建てプラチナ相場は、月初は騰勢を強める金相場からの出遅れ感が意識されて買われる展開となった。米経済指標が軒並み好調な結果となったほか、4月前半までは原油価格の上昇なども商品市場全般での上昇を連想させ、投機家の買いの要因になった。12日には月間最高値となる999ドルまで上昇したが、この水準では下値で購入していた投機家の利益確定売りが旺盛となり上値を重くし、反落する展開となった。加えて月の後半にかけても米長期金利の上昇が続き、ドル高が進んだことや、金相場も月初から中旬の上昇基調ほどの勢いを失ったことから、24日に月間最安値となる905ドルまで下落した。月末にかけてはドル高も一服したことから、小幅に値を戻し939ドルにて月を終えた。
今後の見通し
 昨年7月以降900ドルないし、それを割り込んだら買われ、1000ドルを意識すれば売られるという状況が引き続き継続している。4月もこの状況を打破するには至らずという恰好であったが、本年2月以降は徐々に下値を切り上げつつある。需給面での材料が不足している故に、投機家の売買主導となりこのレンジの継続は強く意識されようが、金相場の水準が水準だけに抜ければ大きな動きとなりやすく、引き続き注視が必要となろう。



為替市場の動向 4月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 151.43円でスタートした4月の円相場は米3月ISM製造業指数や米3月ADP雇用統計の上振れを受けて円安基調となると、中東情勢の緊迫化により5日には月間最安値となる150.99円まで円高が進むも、その後の米雇用統計が予想の結果を大きく上回ると151円台後半まで上昇した。この水準で当局の口先介入が散見されたものの、その後10日の米3月CPIが市場予想を上回ると、米利下げに対する期待感が大きく後退。また3月のFOMC議事録ではインフレ鈍化への確証が持てない懸念が示され、結果としてドル高が加速し、円相場はそれまで節目として意識されていた152円を抜け、154円台後半へと大きく円安が進むこととなった。その後25日の米第1四半期GDPは米国の需要の堅調さとしつこいインフレが確認されると、155円まで上昇。26日に本邦が日銀金融政策決定会合で現状維持を決定し、植田総裁の会見でも為替水準を意識した発言がなかったことで、円安が加速し本邦休日の29日には一時160.25円近辺まで円安が進行した。ただ、この水準で為替介入とみられる動きが入り、154円台半ばへと大きく押し下げられると、翌30日に月間最高値となる156.92円で月を終えることとなった。
今後の見通し
 米国のインフレ鈍化に時間がかかっており、利下げの年内織り込み回数が減少しており、これすなわち、米国の高金利環境が当初想定よりも継続することを表している。一方で本邦の金融政策には多少の変化はあれど、量的緩和の姿勢は継続していると受け止められており、物価も実体経済も脆弱な現況において、利上げへの展開は想像しにくい。つまり、日米金利差の広い状況は今後も継続するとみられ、介入等で多少の逆回転が生じても、基本的には円安基調での展開は継続しよう。

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