貴金属市場の動向

2020年1月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 トレーディングセクション 鈴木 悠介

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 1月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 月間最安値の1,520.55 ドルでスタートした1 月のドル建て金相場は年初、米国とイランの衝突をきっかけとした中東情勢に対する緊迫感の高まりから、アジア時間に一時1,610 ドルまで急騰した。その後は、両国ともに軍事衝突回避の姿勢を示したことに加え、米中通商協議の「第1 段階」への合意署名に対する期待感から1,540 ドル近辺まで下落。米中通商協議合意署名後は新たな材料に欠け、1,560ドル近辺で売り買いが交錯したあとは、米FOMC 声明で、当面金融緩和が維持されるとの見方が強まったことや、新型コロナウイルス蔓延により世界経済の減速感が意識されたことで1,580 ドル近辺まで強含んだ。その後、世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言を受け、感染拡大を防ぐ動きが強まるであろう期待感から反落する場面もみられたが、欧米でも急速に感染が広がっていることから再び警戒感が強まり月末31 日には月間最高値の1,584.20 ドルで終了した。
今後の見通し
 米中通商協議の第1 段階が合意され、両国の摩擦は緩やかに解消に向かっていると考えられるが、中東情勢の緊迫化や世界的に感染拡大している新型コロナウイルスなどを背景に世界経済への減速懸念が強まる中で、引き続き底堅い展開を予想する。

プラチナ市場の動向 1月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 981 ドルでスタートした1 月のドル建てプラチナ相場は、前月からの堅調地合いを引き継ぎ990 ドル近辺まで上昇したものの、良好な米経済指標を背景としたドル高から下落に転じると、米国とイランの衝突を受けて9 日には月間最安値の954 ドルまで下げ幅を拡大。その後、両国共に軍事衝突回避の姿勢を示したことで反発すると、米中通商協議「第一段階」への合意署名に対する期待感から節目の1,000 ドルを突破。加えて、米株価が底堅く推移しETF などを中心に資金流入したことで値を伸ばすと16 日には月間最高値の1,033 ドルまで続伸した。月末にかけて、新型コロナウイルスが感染拡大したことで景気下振れリスクが台頭すると徐々に上値を削り970 ドル近辺まで下落した。月末に世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を発令したことで新型コロナウイルスの封じ込めに向けた期待感が高まり、やや値を戻す場面が見られたものの、感染拡大は止まらず、世界的な株価の下落を嫌気して売り込まれると月末31 日には959 ドルで終了した。
今後の見通し
 主要生産国である南アフリカの電力不足に起因する供給不安や相対的な割安感を背景にETF などを中心に資金流入がみられ価格を押し上げてきたが、需給環境は供給過剰と見られ上値は重いだろう。



為替市場の動向 1月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 低調な米経済指標に加え、米国がイラクにミサイル攻撃を行ったことで円買いが進み108.11 円でスタートした1 月のドル円為替相場は、年初から下落していた米株価の反発を材料に108.50 円近辺まで回復。しかし、イランがイラクの米軍基地へ報復攻撃をしたことで、8 日には月間最安値の107.83 円まで急落した。その後は、両国とも対立激化は望まないとし、中東情勢への懸念が一服したことで上昇へと転じると、米中通商協議の「第一段階」合意署名への期待からドルが買い進められ110 円近辺まで上伸。更に、良好な米経済指標や最高値を更新する米株価にサポートされ17 日には月間最高値の110.33 円まで続伸した。その後、米FOMC でFRB は政策金利据え置きを決定したものの、市場予想通りの展開となったことから相場への影響は限定的だった。月末にかけて、新型コロナウイルスの蔓延が世界経済に対して下押し圧力となるとの見方が強まったことで円高が進み109.06 円で終了した。
今後の見通し
 1 月の米FOMC でFRB は政策金利据置きを決定し、当面低金利政策は維持される見込み。米中通商協議の先行き不透明感は残るものの、緩和方向に向かっており金利引き下げに対する圧力は限定的と思われる。一方で、中東情勢不安や新型コロナウイルスの感染拡大などへの懸念から円が買われやすい展開か。

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