貴金属市場の動向

2021年1月

田中貴金属工業株式会社 貴金属市場部 トレーディングセクション 鈴木 悠介

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 1月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,930.80ドルでスタートした1月のドル建て金相場は月初、英国が都市封鎖を発表したことに加え、OPECプラスでの合意を材料にドル全面安となると、6日には月間最高値の1,957.20ドルまで値を伸ばした。その後は、大型の米追加経済対策に対する期待感から、米株式市場が堅調に推移し米長期金利も高止まりしていることから資金流出が続き1,840ドル近辺まで急落する展開となった。月半ばにかけては、安値を拾う動きから1,860ドル近辺まで回復したものの、米祝日を前にポジション調整の売りから値を下げると、18日には月間最安値の1,833.05ドルまで下落した。月末にかけては、次期米財務長官の追加経済対策に対する発言からドル安となると1,870ドル近辺まで反発したが、欧州での新型コロナウイルスワクチン接種の遅れなどを材料にドルが切り返し上げ幅を打ち消すかたちで1,840ドル近辺まで下落。その後の米FOMCでは、政策金利は据え置かれ、緩和的な金融政策の維持を表明したものの、市場は織込み済みで相場への影響は限定的となった。月末には、欧州で都市封鎖の延長や拡大、米国株式市場において乱高下が見られる中で下値を切り上げると、月末29日には1,863.80ドルで終了した。
今後の見通し
 米国をはじめ、未曽有の大規模金融緩和政策は継続しており、雇用統計を眺めても資金流入しやすい地合いは当面続くであろうが、新型コロナウイルスによる経済活動や雇用への影響次第という面もあり、今後の経済指標にしっかりと注意を払う必要があるだろう。

プラチナ市場の動向 1月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 1,101ドルでスタートした1月のドル建てプラチナ相場は月初、1,100ドルを挟んで売り買い交錯する展開が続くと、8日発表の米12月雇用統計が市場予想を大幅に下回る結果となり、新型コロナウイルスを受けた雇用の弱さが顕著に表れたことで失望売りが広がり1,040ドル近辺まで急落。加えて米長期国債利回り上昇を背景にドルが強含んだことで、11日には月間最安値の1,016ドルまで続落した。その後は、急落に対する買い戻しと米長期国債利回りの上昇が一服したことで1,120ドル近辺まで回復するも、同水準では売りが旺盛となり再び1,080ドル近辺まで反落した。月後半にかけて、バイデン米大統領が推進する追加経済対策などを材料に米株価が高値を維持したことが好感され、21日には月間最高値の1,129ドルまで上値を伸ばした。その後は利食い売りが旺盛となり、月末29日には1,110ドルまで下落して終了した。
今後の見通し
 水素社会実現への期待感から下値はサポートされている印象を受けるが、中長期的な視点を材料に1,000ドル台を維持できるかに注目したい。



為替市場の動向 1月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 103.08円でスタートした1月の為替相場は月初、前月からの下落基調を継続し上値の重い展開が続くと、弱い米12月雇用統計も相俟って6日には月間最安値の102.68円まで値を下げた。その後は、市場予想を上回る米経済指標やバイデン政権による大型経済対策に対する期待感から、米長期国債利回りが上昇するとドル買いの勢いが強まり104.30円近辺まで急騰した。月半ばにかけては、米国内において新型コロナウイルスワクチン接種の進展が景気回復期待を高めていたものの、米債券市場で10年債入札結果が事前予想に反し堅調だったことで買い戻しの動きが強まると、ドル売り優勢となり103.50円近辺まで下落した。その後は、バイデン新大統領が追加経済対策の規模を発表したことや、パウエル米FRB議長が出口戦略議論の時期ではないと発言したことで売り買いが交錯し103.70円近辺で揉み合う展開が続いた。月末にかけては、米FOMCで政策金利は据え置かれ、欧州各国で都市封鎖の延長や拡大が発表される中で、ユーロに対しドルが強含むと104円を突破。米新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったこともサポート材料となり、月末29日には月間最高値の104.48円まで続伸して終了した。
今後の見通し
 米FRBによる雇用の改善は道半ばであり、これまでの大規模金融緩和は当面維持されるだろう。したがって、日米の金利差をベースに足元のドル安水準が維持されるというのを基本シナリオとしたい。ただし、新型コロナウイルス感染が収束へ向かう展開となれば、米国景気浮揚への期待感から段階的に下値を切り上げる局面が来る可能性も念頭においておきたい。

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