貴金属市場の動向

2020年2月

株式会社 徳力本店 地金部 地金課 金塚 美智子

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 2月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,590 ドル付近で始まった2 月のドル建て金相場は、新型肺炎の感染拡大が続く中、春節(旧正月)明けの上海株式市場への警戒感を背景とした買いに、一時1,600ドルの節目を試す付近まで上伸しました。ただ、欧米株式の堅調推移や3 日に公表された米1 月ISM 製造業景況指数の景気判断の分かれ目となる「50」を上回る結果が相場圧迫材料となり、1,570 ドル付近まで売り込まれました。
 4 日には、中国人民銀行が市場公開操作を通して大量の資金供給を行ったことや財務省も金融刺激策に乗り出し、同国の経済対策を強化。景気減速懸念が後退する中、金売りが優勢となり、1,550 ドル台前半まで水準を切り下げました。その後は、安値拾いの買いに1,560 ドル台まで水準を戻すも、新型肺炎のワクチン開発に大きな進展があったとの報を受け、過度な警戒感が後退。上げ幅を削り、1,550 ドル~ 1,560 ドル付近での推移が続きました。
 ただ、新型肺炎感染拡大への根強い警戒感や経済停滞への懸念が燻り続けていることが相場を支援。また、7 日に公表の1 月米雇用統計のうち、失業率や平均時給の伸びが鈍化したことも追い風となり、1,570 ドル台まで水準を切り上げました。
 11 日から12 日にかけて行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長による議会証言で、当面の利下げ見送りを示唆したことが金相場を圧迫。一時1,560ドル割れを試す付近まで水準を切り下げるも、新型肺炎拡大への警戒感が燻り続ける中では、リスク回避の金買いが入り、切り返す展開に。中国国内での感染拡大の実態が不透明であることが意識した買いも台頭する中、1,580 ドル台まで水準を切り上げました。
 その後も製造業を中心に中国各地へ拠点を置く海外企業の新型肺炎の影響による業績悪化懸念が燻り始め、欧米株式を中心に下落する中、金買い優勢の流れが継続。中国のみではなく、世界的な新型肺炎感染拡大への懸念も浮上する中、1,600 ドルの節目を突破し、上げ足を強めました。また、24 日には米国株式が前週末比で1,000 ドル超暴落したことも相場支援材料となり、一時1,690 ドル付近まで上昇し、2013 年1 月以来の高値を付けました。
 しかし、急速に進んだ上昇に対する警戒感や利益確定の売りに押され、その後は1,630 ドル台まで大きく水準を切り下げました。ただ、新型肺炎拡大への懸念が燻り続ける中では、1,650 ドル台まで水準を戻し、もみ合いとなりました。
 月末にかけては、新型肺炎の中国国外での拡大が鮮明となる中、金融市場が混乱状態に。世界同時株安のほか、米国長期金利の低下が止まらない中、この流れが金にも波及し、換金売りが台頭。1,650 ドル台から1,560 ドル台まで大きく水準を切り下げ、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 中国のみならず、世界的に感染拡大している新型肺炎への警戒感が燻り続けていることや、世界経済減速懸念が高まっている中では、引き続き底堅い推移が続くと思われます。

プラチナ市場の動向 2月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 960 ドル付近で始まった2 月のドル建てプラチナ相場は、春節明けの上海株式市場が大幅安となる中、一時950 ドル付近まで売り込まれました。
 ただ、欧米株式の堅調推移や3 日に公表の1 月米ISM 製造業景況指数の良好な結果を眺めた買いが入ったほか、同族メタル:パラジウムの急騰に連れ、一時980ドル台まで水準切り上げました。その後は、中国の金融刺激策発表を受け、同国の景気減速懸念後退を背景に金が大きく売られる中、プラチナも追随。960 ドル台後半まで水準を切り下げました。
 5 日には、新型肺炎向けワクチン開発への期待感から欧米株式が大幅高で推移したほか、米国経済指標の良好な結果を好感した買いに、一時990 ドル台に乗せました。ただ、直近高値を更新したことによる利益確定の売りやパラジウムの急落を嫌気した売りに押され、960 ドル台まで水準を戻しました。
 7 日に公表された1 月米雇用統計非農業部門就業者数の良好な結果を受け、米国経済の先行きに楽観的な見方が浮上する中、975 ドル付近まで水準を切り上げました。ただ、失業率・平均時給が鈍化していることや、新型肺炎拡大懸念を背景とした欧米株安が圧迫材料に。米国で当面の利下げ見送りが示唆されたことも重石となり、960 ドル割れまで水準を切り下げました。その後は、金やパラジウムの堅調推移に支えられ、960 ドル~ 970 ドル台での推移が続きました。
 しかし、新型肺炎拡大が中国に製造拠点を置く海外企業などの業績悪化に繋がるとの懸念が燻り始め、欧米株式が軟化する一方で、リスク回避の買いで金が急伸する中、プラチナも追随し、1,000 ドルの大台に乗せました。また、米国経済指標の良好な結果を好感した買いなどにも支えらえれ、一時1,020 ドル付近まで上伸しました。
 その後は、直近高値を更新したことによる利益確定の売りのほか、24 日以降、新型肺炎の世界的な拡大懸念を背景に米国株式が3,000 ドル超急落したことを嫌気した売りに900 ドルの節目割れまで水準を切り下げました。
 また、金やパラジウムの急落、プラチナ工業用需要減退懸念など、ネガティブ要因が重なる中、売りが売りを呼ぶ展開となり、下落基調に。月末にかけて860 ドル付近まで大きく水準を切り下げ、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 上場投信(ETF)や先物市場への投資資金流入が相場押上げ要因となってきていたものの、新型肺炎感染拡大を背景に中国ほか主要プラチナ消費国の経済減速懸念などがネガティブ要因として燻っている中では、目先は上値も重く、弱含みの展開が続くと思われます。



為替市場の動向 2月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 108.40 円台で始まった2 月のドル円相場は、新型肺炎による市場の混乱を回避するため、中国人民銀行が大規模な資金供給を発表したことや、3 日に公表の1 月ISM 製造業景況指数の強い結果を受け、円売りが加速し、108 円台後半まで円安に進みました。
 また、中国人民銀行に加え、中国財務省も金融面から企業支援に乗り出すなど、景気刺激策への期待感から、上海株式をはじめ世界的に株価が上昇。リスク回避姿勢が後退し、109.50 円台まで売られました。
 5 日には、英国や中国が新型肺炎向けのワクチン開発に大きな進展があったことを報じたほか、1 月ADP 全米雇用報告の良好な結果を受け、円売り優勢の流れが続きました。また、トランプ米大統領の弾劾裁判では無罪判決が下されたことや、中国による対米報復関税の一部引き下げ示唆を受け、一時110 円ちょうど付近を付ける場面が見られました。
 7 日に公表の1 月米雇用統計では、非農業部門就業者数が2 か月ぶりに20 万人を上回ったものの、失業率や平均時給が鈍化したことが意識され、円買いが優勢に。また、新型肺炎拡大懸念が意識され続けていることも円買い要因となり、109.60円台まで円高水準に戻しました。その後は、パウエルFRB 議長の議会証言待ちとなり、内容を見極めたいとの思惑から109 円台後半の狭いレンジ内で小動きが続きました。
 注目の議会証言では、現行の金融政策が適切であることを踏まえ、当面の利下げ見送りを示唆。今年後半にかけての利下げへの期待感が後退し、円売りが優勢に。また、米国株式が連日史上最高値を更新していることを眺めた円売りも入る中、110 円台に乗せました。ただ、新型肺炎拡大への懸念が燻り続けているため、リスク回避の円買い圧力も強く、109.80 円台まで円高方向に切り返しました。
 しかし、19 日以降に公表された主要米国経済指標の良好な結果や中国国内での新型肺炎感染者の増加ペースの鈍化などを受け、円売りに転じました。日本でも新型肺炎拡大傾向にある状況下では、安全資産とされている円の売りが加速。一時、2019 年4 月以来約10 か月ぶりの水準となる112 円台前半まで円安に進みました。ただ、急速に進んだ円安に対する反動や21 日に公表された2 月米国製造業景況指数速報値の下振れなどを受け、円買いが優勢に。また、24 日には新型肺炎の世界各地への急拡大による景気悪化懸念から米国株式が前週末比1,000 ドル超暴落し、円買いが加速。一時110.50 円台まで円高に進みました。
 月末にかけては、新型肺炎感染拡大が止まらず、経済への打撃に警戒感が広がる中、世界同時株安や米国長期金利の低下などを受け、円買いが優勢に。米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長の緊急声明で、利下げ検討を表明したことなども円買いを加速させ、1 月上旬以来となる107 円台後半まで急速に円高に進み、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 新型肺炎の拡大に歯止めがかからず、世界的な景気減速への警戒感が高まる中、米国が利下げ検討を表明したほか、主要国でも金融緩和に踏み切る可能性が出てきました。このような状況下では、円を買う動きが優勢の展開が続くと思われます。

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