貴金属市場の動向

2020年11月

株式会社 徳力本店 地金部 地金課 金塚 美智子

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 11月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,885ドル付近で始まった11月ドル建て金相場は、米国大統領選挙を3日に控え、先行き不透明感が漂う中、リスク回避の金買いが優勢に。また、欧米各地で新型コロナウィルスの感染が再拡大していることも安全資産としての金買いを支え、上昇基調が続きました。
 注目の大統領選は各州で接戦の様相を呈したほか、郵便投票の急増で開票作業に時間を要している州も見受けられ、当日中の勝者確定が厳しい状況に。5日には、民主党:バイデン氏が勝利に近づいているものの、開票を巡り共和党:トランプ氏が法廷闘争も辞さない構えを示唆し、最終的な決着には更に時間を要するとの懸念が広がる中、リスク回避の金買いが加速。大統領選の情勢を巡り、11月に入ってからの5日間で1,960ドルを試す付近まで70ドル超大きく水準を切り上げました。
 7日には、バイデン氏が当確に必要な選挙人を獲得し、勝利宣言をしたことで一旦の決着がついたことや、9日には米国で新型コロナ向けワクチン臨床試験での良好な結果が発表され、投与への期待感が高まったことなどを背景に米国株式が急騰。これを嫌気した金売りが優勢となり、1,900ドルの節目を割り込み、一時1,850ドル割れを付け、1日で約90ドル超大きく水準を切り下げました。
 ただ、急速に進んだ金売りの流れが一服した後は、欧米各地での新型コロナ感染再拡大に歯止めが掛からない中、景気回復遅延への懸念が再燃し、リスク回避の買いが優勢に。一時1,900ドルの節目を試す付近まで上伸しました。
 その後は、米・英の製薬会社2社が新型コロナ向けワクチンの治験で良好な結果を示したことを相次いで発表し、早期実用化への期待や経済活動正常化への期待が浮上。リスク選好意欲が改善し、米国株式が史上最高値を更新する中、金売りが優勢に。一時1,800ドル割れを試す付近まで大きく水準を切り下げました。ただ、米国の感謝祭による休場を挟み、市場参加者が少なくなる中、1,800ドル~1,820ドル付近での小動きが続きました。
 月末にかけては、米製薬大手2社が新型コロナ向けワクチンの緊急使用許可申請を行ったことを発表し、年内使用開始への可能性が浮上。また、トランプ米大統領の承認を受け、バイデン政権への移行作業が開始され、政権運営への不透明感が後退。これらを背景に金売りが加速し、一時1,760ドル付近まで大きく水準を切り下げました。その後は、やや水準を戻し、1,770ドル台でこの月の取引を終えました。
今後の見通し
 新型コロナ向けワクチン早期実用化、経済正常化への期待感がある一方で、欧米を中心に感染再拡大が続く状況下であるため、底堅い推移が今後も継続すると思われます。

プラチナ市場の動向 11月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 850ドル台で始まった11月ドル建てプラチナ相場は、米大統領選を巡る先行き不透明感や欧米での新型コロナ感染再拡大を背景に上伸した金に追随し、890ドル付近まで水準を切り上げました。
 3日には大統領選の結果が判明せずに一時860ドル割れまで売り込まれたものの、開票を巡る混乱が続き、最終的な決着に時間が掛かるとの懸念から金が急騰し、プラチナも連れ高に。900ドルの節目を突破し、一時910ドル付近まで大きく水準を切り上げました。
 9日には、新型コロナ向けワクチン開発・投与への期待感が高まり、米国株式が急騰、金が急落する中、プラチナは売り優勢に。860ドル割れまで大きく水準を切り下げました。
 その後は、急速に売られたことによる反動買いのほか、欧米各地で新型コロナ感染再拡大が続き、景気停滞への懸念から上昇に転じた金に追随。また、米・英の製薬会社2社が相次いで新型コロナ向けワクチンについて早期実現を期待できる治験結果を公表したことを背景に欧米株式が上昇したことも相場支援材料に。900ドルの節目を突破後も上昇基調が続き、950ドル台まで大きく水準を切り上げました。
 ただ、直近高値更新後は利益確定の売りに押されたほか、金の急落を嫌気した売りも入り、930ドル付近まで水準を切り下げました。
 その後は、米製薬大手2社が相次いでワクチンの緊急使用開始申請を行ったことを公表。年内実用化への期待や経済活動正常化への期待から、米国株式が史上最高値を更新。これを好感した買いに支えられ、再び上昇に転じました。970ドル付近まで上伸するも、米国市場の休場を挟んで、参加者が少なくなる中、同水準での推移が続きました。
 月末にかけては、金の急落を嫌気した売りに押される場面が見られるも、直近の強地合いが続く中、970ドル付近まで水準を戻し、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 先物市場や上場投信(ETF)への資金流入に転じており、プラチナ投資への意欲が回復傾向にあることや、新型コロナ向けワクチンの早期実用化への期待から堅調推移の続く米国株式などが相場支援材料となり、底堅く推移すると思われます。



為替市場の動向 11月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 104.70円台で始まった11月ドル円相場は、米大統領選を控え、様子見ムードが漂う中、104円台後半から105円手前付近でのもみ合いが続きました。
 4日に大統領選開票を控え、トランプ氏善戦の報が入ったことや日経平均株価の堅調推移を眺めた円売りに、一時105.30円台まで円安に進みました。ただ、開票が進むにつれ、バイデン氏優勢の州が増えたほか、同時に行われている議会選挙で「ねじれ議会」が継続する見通しが広がり、政権運営への不透明感が浮上。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が事実上のゼロ金利と量的緩和政策の継続を決定。これらを背景に円買いが加速し、104円を割り込み、一時103.50円付近まで円高に進みました。その後は、3月中旬以来約8か月ぶりの円高水準でのもみ合いが続きました。
 9日には、バイデン氏の勝利宣言や新型コロナ向けワクチン開発・投与開始への期待感から世界的に株高基調となる中、円売りが優勢に。103円台前半から105.50円台まで大きく円安に進み、同水準での推移が続きました。
 ただ、米・英の製薬会社2社も立て続けに開発中の新型コロナ向けワクチンに関し良好な結果を公表したことによる早期実用化への期待感より、欧米各地での新型コロナ感染再拡大による景気先行き懸念が勝る中、リスク回避の円買いが優勢に。また、日本国内でも東京をはじめとして札幌や大阪などでも新規感染者数が過去最大を更新したとの報を受け、18日には104円の節目を割り込み、103.60円台まで円高に進みました。
 その後は、急速に進んだ円買いに対する反動売りが入ったほか、米主要経済指標が速報値ベースで良好な結果となり、新型コロナ感染拡大による短期的な景気悪化懸念が後退したことが円売り材料に。また、トランプ大統領がバイデン新政権への移行準備を承認し、政権運営への不透明感が後退。政経両面でのネガティブ要因が払しょくされ、米国株価が史上最高値を更新する中、円売りが加速。104.80円付近まで円安水準に戻しました。ただ、円売り一巡後は円買いに転じたことや、米国市場の休場を挟んで参加者が少ない中、104円台前半でこう着状態になりました。
 月末にかけては、足元の新型コロナ感染再拡大による経済停滞への懸念や米追加経済対策案に進捗が見られないことなどを材料に米長期金利は低下、米国株も売られる中、円買いが優勢に。一時104円を割り込み、103円台後半まで円高に進むも、新型コロナ向けワクチン早期投与開始への期待から円売りが入り、104円台前半まで水準を戻し、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 新型コロナ向けワクチンの早期実用化・経済正常化への期待感を背景とした円売りが入る一方で、依然として感染再拡大が欧米を中心に続いている状況下ではリスク回避の円買いも入りやすいため、方向感の出にくい展開が続くと思われます。

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