貴金属市場の動向

2020年3月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 3月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,590 ドル台後半でスタートした金相場は3 日、COVID-19(新型コロナウィルス)の感染拡大を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が0.5% の緊急利下げに踏み切ったことで、金利を生まない資産である金を買う動きが活発化。6 日には1,680ドル台まで急騰した。
 その後、COVID-19 の感染拡大による世界経済減速懸念により、サーキットブレーカーが発動される等米株価が度々急落する一方、米国においてCOVID-19 関連の対策法案の成立や、トランプ米大統領が感染拡大で打撃を受けた業種を対象とする所得補償や給与税減税など大規模な景気対策の成立を米議会に呼びかけるなど、強弱材料が入り混じる展開。金価格は乱高下を繰り返すも概ね1,650 ドルで推移する展開となった。
 しかし、世界保健機関(WHO)のテドロス議長が11 日、COVID-19 はパンデミックの状況にあると宣言。COVID-19 の感染終息の見通しが立たず、世界的なリセッション突入への懸念が高まるなかで米株価が連日暴落。本来であれば金は安全資産として買われる傾向となるはずが、投資家の損失補填や流動性確保の為の換金売りに晒される展開に。12 日に1,570 ドル台まで下落してもこの流れは止まらず、16日には1,500 ドルも割り込み1,480 ドルまで大幅に続落。換金売り一巡後は安値拾いや安全資産として再び買い戻され、1500 ドルを回復する場面もあったが、対ユーロでのドル高が重石となり、概ね1470 ~ 1490 ドル台で推移する展開が続いた。
 ところが、FRB が23 日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開きCOVID-19への対応として無制限の量的緩和を行う方針を決定すると状況は一変。この資金供給による流動性の確保が投資家の換金売りの必要をなくし、安全資産としての金への資金流入が加速する格好となった。同日1500 ドルを突破し、翌24 日には1,600ドル台まで急上昇。26 日には米労務省が発表した週間新規失業保険申請件数が過去最多を記録した事を背景に1,630 ドル台まで値を戻した。
 以降は米国での2 兆2,000 億ドル規模の新型コロナウィルス関連経済対策が成立する見通しとなったことで利益確定の売りが殺到。月末に1,600 ドル台まで下落しこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 COVID-19 の世界的感染の終息の兆しがいまだ見えず、世界的な景気後退が叫ばれる中では金は引き続き底堅く推移するも、株価が乱高下を続ける中で値動きの荒い展開になるのではと予想する。

プラチナ市場の動向 3月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 850ドル台でスタートしたプラチナ相場は米FRB による緊急利下げを受けた金価格の上昇に追随。4 日に870 ドル台まで上昇。6 日には南アフリカの白金生産大手アングロ・アメリカン・プラチナムが2 月に発生した精錬所での事故を受けてフォースマジュール(「不可抗力」による契約責任の免除)を宣言。今年の生産見通しを下方修正したことを受け890ドル台まで上昇した。
 しかし、9 日に米株価の下落率が基準値の7% を超え、取引を一時中断するサーキットブレーカーが発動される大幅続落となり、プラチナ価格が一転下落に転じると、11 日のWHO によるCOVID-19 のパンデミック宣言や、米国による欧州26か国からの入国制限などに端を発する米株価の暴落の中で、大幅に値を下げる展開に。13 日に800ドルを割り込むと、翌週16 日は700ドルも割り込み、19 日は600ドルを割り込む590ドル台と瞬く間に値を下げた。
 その後、急落の反動による買戻しもあり、600ドル台を回復すると、23 日にFRB による無制限の量的緩和や26 日の額2 兆2,000 億ドルに規模の経済対策成立による株価の上昇や金・パラジウムの大幅高に追随。南アフリカのロックダウンによる白金大手3 社が操業休止に追い込まれていることも材料となり、同日には740ドル台まで値を戻すも、以降は金価格の下落やドル高を背景に月末には720ドルまで値を下げこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 COVID-19 の感染拡大により各自動車メーカーが生産を一時停止する等、工業需要減の懸念が生じている。南アフリカの白金大手3 社の操業休止も長期化すれば供給面での影響は避けられないが、概ね頭の重い展開が続くと予想する。



為替市場の動向 3月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 107 円台半ばでスタートしたドル円相場は3 日、COVID-19 による景気失速を回避する為の政策金利の緊急利下げを背景にドル売り・円買いが優勢な展開に。概ね107 円台前半での推移が続くと6 日には米国債の10 年利回りが過去最低を大幅に更新、翌週9 日にはCOVID-19 の世界的な感染拡大や原油価格の暴落を背景とした世界的な株価の急落により、相対的に安全通貨とされる円買いが加速。10 日には103 円台前半まで急激に値を落とした。
 その後、急激な円高・ドル安による円の買い過剰感が高まったことから一転円売り・ドル買いが優勢な展開に。11日のWHO によるCOVID-19 のパンデミック宣言や、米国による欧州26 か国からの入国制限を受けて米株価が連日暴落を続ける中で、相対的な安全通貨である金よりも基軸通貨で流動性のあるドルを買う動きが活発化。15 日にFRB が再度臨時のFOMC を開催、政策金利を1% 引き下げる緊急利下げを実施するもドルを買う流れは収まらず、17 日のドル円相場は月初の107円台近くまで値を戻すと、右肩上がりの上昇を続け25 日には111 円台前半まで上昇する展開となった。
 しかし、その後はFRB による無制限の量的緩和に踏み切ったことや米国の大規模なCOVID-19 に対する大規模な経済対策を受けて流動性確保のためのドル買い需要が落ち着きを見せ、次第に円を買う動きが優勢に。月末には108 円台後半を付けこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 COVID-19 の感染が拡大する中で、米経済はすでにリセッション入りしたとの見方も強まっている。FRB による無制限の量的緩和が行われドル買いの流れが一服する中で、円は概ね底堅く推移するのではないかと予測する。

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