貴金属市場の動向

2022年9月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 9月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1690ドル台でスタートした金相場は、2日に発表された8月の米雇用統計の非農業部門就業者数が市場予想とほぼ同じ内容であったことで、FRBの積極的な利上げ姿勢の緩和期待から米長期金利や外国為替市場のドルが軟化。金は1710ドル台まで上伸。その後も米長期金利や外国為替市場でのドルの動きを眺めながら、1700~1710ドル近辺での値動きが続き、8日に欧州中央銀行(ECB)が政策金利を0.75%引き上げたことから、対ユーロでドルが下落。12日には月間最高値である1726.40ドルまで上昇した。
 しかし、13日に米労働省が発表した8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る上昇率となったことで、FRBの積極的な利上げ姿勢継続懸念が再燃。米長期金利や外国為替市場でのドルが上昇する中で、1700ドル前半まで値を下げると、その後発表された8月の米小売売上高などの各種指標もインフレの高止まりを示す内容であったことで金は売りが優勢な展開となり、15日には2021年3月以来となる1700ドルを割り込み、16日には1660ドル台まで値を下げた。
 その後、ロシアのウクライナ侵攻に伴う地政学リスクの高まりから1670ドルまで値を戻す場面も見られたが、20-21日で開催されたFOMCで0.75%の追加利上げが決定されると、金は更に値を下げる展開となり、23日に1650ドルを割り込むと、27日にはFRB高官による利上げ継続に積極的な発言が相次いだことで月間最安値である1634.30ドルまで下落した。月末にかけてはここまで上昇基調であったドルや米長期金利の軟化を受け1670ドル台まで値を戻しこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 景気減速懸念や地政学リスクによる安全資産としての金買いは下値をサポートする一方で、FRBが積極的な利上げ継続を示す中では上値は重く、一定のレンジでの値動きが継続すると想定する。

プラチナ市場の動向 9月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 月間最安値である830ドル台後半でスタートしたプラチナ相場は、2日に発表された8月の米雇用統計の内容を受けて、外国為替市場のドル、米長期金利が軟化したことを受けて、じりじりと上昇する展開。先月迄の下落傾向を受けての安値拾いの買いや、8日に行われた欧州中央銀行の0.75%の利上げもドルの軟化材料となり、12日には900ドル台まで上伸。その後もPGM生産大手のAnglo American Platinum社の精錬設備修復遅延によるPGM生産の下方修正の発表がある中で、ドルや米長期金利の動きを眺めた相場の上下はありつつもプラチナは上昇を続け、20日には月間最高値である931ドルまで上伸した。
 しかし、20-21日に開催されたFOMCで0.75%の追加利上げが決定され、積極的な利上げによる経済の減速懸念が改めて意識される中でプラチナは下落に転じた。23日に900ドル台を割り込むと、FRB高官による利上げに対するタカ派的な発言が相次ぐなかで、積極的な利上げ継続が改めて意識され、28日には850ドルを割り込んだ。月末にかけては米長期金利や外国為替市場でのドルの軟化を受け860ドル台まで値を戻し、この月の取引を終了した。
今後の見通し
 景気減速懸念から上値の重い展開が続くと思われるも、Anglo社の減産報道や南アフリカでの電力逼迫問題などの供給面での不安も根強く、一方的な値動きにはなりづらいと想定する。



為替市場の動向 9月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 139円台半ばでスタートしたドル円相場は、日米金利差の拡大が意識される中で上昇する展開。8月の米雇用統計発表を受け一時軟化する場面も見られたが、2日には1998年8月以来24年ぶりとなる140円台を突破。米ISM(サプライマネジメント協会)が発表した8月の非製造業景況指数も市場予想を上回るなど、米国経済の堅調さを示す内容となったことで、7日に143円を突破すると、8日は144円台半ばまで上昇した。
 その後、ECB(欧州中央銀行)が0.75%の利上げを決定したことで、ドル円相場は142円台半ばまで下落するも、注目されていた8月の米CPI(消費者物価指数)の上昇率が市場予想を上回った事で、14日に再び144円台半ばまで急上昇。15日には143円台まで下落するも、以降は143円台半ばを挟み底堅い推移が続いた。
 注目されていた20-21日のFOMCでは0.75%の追加利上げが決定された。0.75%の利上げは大方の予想通りではあったものの、2022年末での金利見通しの中央値が想定よりも高かったこと、22日には日銀の黒田総裁が金融緩和継続を改めて強調した事で、ドル円相場は一時145円台を突破。その後政府・日銀による為替介入が実施され、一時140円台まで急落するも、英国の減税政策発表に端を発するポンド急落によるドル相場の押し上げにより再び144円台まで回復すると、米国含む各国の積極的な利上げ継続姿勢に伴う景気不安からのドル買いが継続し、月末にかけては144円台後半まで上伸しこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 政府・日銀の為替介入など不確定要素はあるものの、FRBの積極的な利上げ継続姿勢を打ち出す一方で、日銀は金融緩和の継続姿勢を強調している現環境が継続する中では、円安傾向が続くと想定する。

ページの先頭へ戻る
x
協会会員専用ページ

これから先のページは、日本金地金流通協会の会員専用ページとなります。
研修の開催や会員向けの情報を掲載しています。

なお、当協会への入会を検討されている方は、当協会までお問い合わせください。

あなたは日本金地金流通協会の会員ですか?