貴金属市場の動向

2020年9月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 9月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1810ドル台でスタートした金相場は、注目されていた8月の米雇用統計の結果が弱く、市場予想を大幅に下回る結果であったことから、米連邦準備理事会(FRB)の早期量的緩和縮小観測が後退したことで上昇。6日には1820ドル台まで上伸した。しかし、ここ最近での高値の節目であった1830ドルを超えられなかったことによるファンド筋の見切り売りや、ドル高、米長期金利の上昇なども重なり、8日には1780ドル台後半まで値を落とした。
 その後はドルや米長期金利の動きを眺めながら、概ね1790ドル台での値動きが続くも、16日に発表された8月の米小売売上高が、-0.8%との市場予想を覆し+0.7%と増加したことで再び早期の量的緩和縮小観測が浮上すると、金価格は大幅に下落し1750ドルを割り込んだ。
 21日には中国恒大集団の債務問題による経営危機不安に注目が集まり、各国の株式市場が急落すると、金は安全資産として買いを集めることとなり、22日には1770ドル台まで上伸するも、同日終了したFOMCでは、11月の次回の会合で量的緩和縮小の決定が強く示唆された他、当初の予想よりも早い2022年内での利上げも示唆された事で、金は再び下落に転じる事に。
 24日には1740ドル台まで下落すると、本来金にとって強材料となるはずのインフレ懸念も金利上昇と結びつく事で弱材料となり、長期金利の上昇や外国為替市場でのドル高から、月末にかけて1730ドルまで値を下げ、30日には1740ドル台まで値を戻し、この月の取引を終了した。
今後の見通し
 中国恒大集団の経営危機不安、米の債務上限問題などの変動要因はあるものの、FOMCの利上げの前倒しの示唆や、長期金利の上昇などを背景に上値の重い展開が続くと予想する。

プラチナ市場の動向 9月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 1,010ドル台でスタートしたプラチナ相場は、一時1,000ドル台まで下落するも、3日に発表された8月の米雇用統計の結果が市場予想を下回ったことによる外国為替市場でのドル安を受けて6日には再び1010ドル台まで上昇した。しかし、半導体不足やその他部品調達の遅れによる自動車会社各社の相次ぐ自動車生産の下方修正が報じられる中で、自動車触媒用途としてのプラチナが意識され、一転下落に転じた。9日に1,000ドルを割り込むと下落の勢いは止まらず、16日に発表された8月の米小売売上高も自動車関連の数値が振るわず、930ドル台まで値を落とした。
 その後、一旦950ドル台まで値を戻すも、中国恒大集団の経営危機不安による株価の急落に連動しプラチナ価格は20日に再び930ドル台まで下落。ただ、中国恒大集団のリスク警戒が若干和らぎ株価が持ち直したことや、価格下落に伴う安値拾いの買いが入る中で、22日には980ドル台まで急反発するなど値動きの激しい展開となった。
 以降はFOMCでの次回会合での量的緩和縮小や2022年内での利上げ示唆による外国為替市場でのドル高に上値を抑えられ、月末には950ドル台まで下落しこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 安値拾いの買い、触媒のパラジウム→プラチナの一部代替が下値をサポートする可能性はあるも、自動車減産、下方修正の影響から上値は重いと想定する。



為替市場の動向 9月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 110円台前半でスタートしたドル円相場は、3日に発表された8月の米雇用統計の結果が市場予想を大幅に下回る結果を受け、早期の量的緩和縮小の見方が後退。同日110円台を割り込み、7日には109円台後半まで下落した。
 その後は米長期金利の動きを眺めながら、109円台後半から110円台前半での値動きが続くも、14日に発表された8月の米消費者物価指数が市場予想を下回り、ドルが弱含むなかで円高傾向となり16日には109円台半ばまで下落。8月の米小売売上高が市場予想を上回ったことで、109円台後半まで上昇するも、中国恒大集団の経営危機不安による世界的な株価急落により、ドル売り・円買いが加速。22日には109円台前半まで値を下げた。
 しかし、中国恒大集団リスクへの警戒感が緩和する中、FOMCで次回会合での量的緩和縮小や2022年の利上げ検討が示唆されたことで、ドル買い・円売りの状況に。24日に110円台半ばまで上昇すると、その勢いのまま月末には111円台後半まで上昇しこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 中国恒大集団の経営不安、米国の債務上限の問題など、リスク要因はあるものの、FOMCの量的緩和縮小、2022年内の利上げ示唆の姿勢がドル高・円安をサポートすると想定する。

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