貴金属市場の動向

2020年2月

株式会社 徳力本店 地金部 地金課 金塚 美智子

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 2月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1,860ドル台で始まった2月ドル建て金相場は、米国オンライン掲示板に銀鉱山株や上場投資信託(ETF)の購入を呼び掛ける書き込みを受け、個人投資家による買いが続き急騰した銀に追随。一時1,880ドルを試す付近まで上昇しました。ただ、急騰していた銀が異常な価格変動に対処するため、先物市場で証拠金引き上げが行われ、個人投資家が取引を回避したことで急落。これを嫌気した金売りが入り、1,840ドル台まで水準を切り下げました。
 4日には、外為市場対ユーロでドル高が続いているほか、米バイデン政権による追加経済対策への期待から堅調推移の続いている米国株式も相場圧迫材料となる中、売りが優勢に。1,800ドルの節目を割り込み、昨年11月以来約2か月ぶりの安値水準となる1,780ドル台を付けました。その後は、反動買いや安値拾いの買いに支えられ、1,800ドルの節目を回復し、1月米雇用統計待ちとなる中、同水準でのもみ合いが続きました。
 注目の米雇用統計では、失業率が前月から改善し、景気動向を敏感に反映するとされる非農業部門就業者数は小幅ながらもプラスサイドに転換。これらの結果を受け、ドル安が進んだことを追い風に1,810ドル台まで上伸しました。
 8日には、米上下両院でバイデン政権が提案した大規模な経済対策法案作りに向けた予算決議を可決し、民主党単独での実現への可能性が浮上。景気回復による将来的なインフレヘッジ先として金買いが優勢に。また、外為市場でのドル安進行も支援材料に一時1,860ドルを試す付近まで水準を切り上げました。
 ただ、春節(旧正月)に伴うアジアの一部市場休場を受け、積極的な商いが控えられたほか、直近高値を更新したことによる利益確定の売りに押され、その後は1,830ドル割れまで水準を切り下げました。
 17日には、米大型経済対策や新型コロナ向けワクチン普及への期待が広がる中、長期金利が約1年ぶりの高水準で推移し、相場を圧迫。また、外為市場でのドル高基調も重石となり、売りが優勢の展開に。心理的な節目である1,800ドルを割り込み、一時1,760ドル付近まで大きく水準を切り下げ、昨年6月下旬以来約8か月ぶりの安値圏へ沈みました。その後は、直近安値を付けたことによる反動買いや安値拾いの買いに支えられ、1,780ドル台まで戻し、同水準でのもみ合いが続きました。
 22日には、米国で大規模経済対策案が週末までに成立するとの見方が広がる中、再びインフレヘッジ目的での金買いが活発化。外為市場でのドル安基調にも支えられ、1,800ドルの節目を回復し、1,810ドル台まで上伸しました。
 ただ、月末にかけては、米国の景気回復への期待感などから金融・債券市場で債券売りが先行。10年債金利の上昇が続き、一時1.60%台を付ける中、金売りが優勢に。金利上昇に伴うドル高への警戒感なども相場圧迫材料となり、売りが売りを呼ぶ流れが続き、1,740ドル台まで大きく水準を切り下げ、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 新型コロナ向けワクチン普及による景気回復への期待感や米国長期金利の上昇・高止まりが金相場下押し要因となっている一方で、新型コロナ感染再拡大への警戒感が依然として燻っていることや、インフレヘッジ先としての金買いも入りやすい環境下の中では、底堅い値動きが続くと思われます。

プラチナ市場の動向 2月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 1,110ドル台で始まった2月ドル建てプラチナ相場は、工業用メタルとしての側面を同じく持つ銀が急騰したことや米国株式の堅調推移を眺めた買いが入り、1,130ドル台まで上伸しました。ただ、銀が急落に転じたほか、姉妹メタル金も大きく売り込まれる中、プラチナも追随。一時1,100ドルを割り込み、1,080ドル台まで大きく水準を切り下げました。
 5日に公表された1月米雇用統計のうち、非農業部門就業者数と失業率が前月より改善。この結果を受け、外為市場対ユーロではドル安が進んだことを支援材料に1,130ドル台まで水準を切り上げました。その後も1月中旬以来約3週間ぶりに最高値を更新した米国株式を好感した買いなどが続き、1,180ドル台まで上伸しました。
 8日には、米上下両院でバイデン政権が提案した大規模な経済対策法案作りに向けた予算決議を可決。景気回復による将来的なインフレヘッジ先として買いが入り、大きく上昇した金に連れたほか、再び最高値を更新した米国株式を好感した買いに支えられ、上昇基調が継続。1,200ドルの節目を突破し、2015年2月以来約6年ぶりの高値となる1,250ドル台まで大きく水準を切り上げました。
 また、英貴金属大手ジョンソンマッセイ(JM)が公表した白金系貴金属市場レポートで、2021年プラチナ需給が3年連続で供給不足の見通しとなることが判明。これを受けたプラチナ買いのほか、米国株高を好感した買いに支えられ、1,300ドルの節目を突破。16日のアジア時間帯には、一時1,340ドル台まで上伸し、2014年9月以来約6年3か月ぶりの高値を付けました。ただ、直近高値を更新したことによる利益確定の売りや、金の急落を嫌気した売りなどが入り、1,300ドルの節目を割り込み、1,250ドル割れまで大きく水準を切り下げました。その後は、安値拾いの買いや金の上昇、米国株式の堅調推移などを眺めた買いに1,300ドル付近まで戻す場面が見られました。
 月末にかけては、米国長期金利上昇や外為市場でのドル高を受け、金が大きく売り込まれる中、プラチナも追随。米国株式の大幅安やパラジウムの急落を嫌気した売りも入る中、1,210ドル割れまで大きく水準を切り下げ、この月の取引を終えました。
今後の見通し
 昨年末以来プラチナ投資への意欲が回復しているほか、新型コロナ向けワクチンの世界的な普及による景気回復への期待から堅調推移の続く米国株式などが相場を下支えする中、約6年ぶりの高値圏まで水準を切り上げた後、売り優勢となったものの、需給面で供給不足の見通しが出ており、引き続き底堅い値動きになると思われます。



為替市場の動向 2月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 104.70円台で始まった2月ドル円相場は、アジア・欧州株式などを含め世界的に株が全面高で推移していることを眺め、円売りが優勢に。また、米議会予算局(CBO)が長期経済見通しを公表し、実質GDP(国内総生産)が2021年半ばを目途に新型コロナ感染拡大前の水準を回復すると示唆したことも円売りを後押し。昨年11月以来約2か月ぶりに105円台に乗せました。
 その後は、105円ちょうどを挟んだ付近での小動きが続いたものの、米国株式や長期金利の上昇を眺めた円売りが入り、105.50円台まで円安に進みました。
 5日に公表の1月米雇用統計では、失業率と非農業部門就業者数が市場予想とほぼ一致。ただ、昨年11月・12月に公表済みの就業者数が下方修正されたことを受け、ドルが対主要通貨で全面安となる中、この流れがドル円相場にも波及。円買いが優勢となる中、105.30円台まで円高に進みました。
 8日には、米国の経済支援対策法案成立への期待感などから日経平均株価が大幅高となり、約30年ぶりの高値を付けたほか、アジア株などが総じて堅調に推移する中、円売りが優勢に。一時105.60円台を付けるも、米長期金利の低下を受け、105円台前半まで水準を戻しました。
 10日に公表された米消費関連指標の市場予想を下回る結果を受け、超低金利政策の長期化観測が広がり、長期金利が大きく低下し、円買いが優勢に。104円台半ばまで円高に進みました。ただ、米国株式が追加経済対策への期待から再び最高値を更新したことや、低下していた長期金利が上昇する中、日米金利差が意識され、円売りに転じました。一時105.10円台まで水準を戻すも、旧正月で多くのアジア市場が休場、米国市場も休場となる中、105円を挟んだ付近で上値重い推移が続きました。その後は、米国景気回復への期待や新型コロナ向けワクチン接種進展などを背景に10年債金利が約1年ぶりに1.3%台を付けたことや主要経済指標の良好な結果を受け、円売りが加速。昨年10月以来約4か月ぶりに106円に乗せ、106.10円台まで円安に進みました。ただ、米雇用関連指標が冴えず、依然として厳しい雇用情勢であることが示唆され、円売りが一服。106円を割り込み、105.50円台まで円高に進み、同水準でのもみ合いが続きました。
 22日には、ドイツ2月企業景況指数が昨年10月以来の高水準に改善されたほか、英国ではロックダウン(都市封鎖)の段階的解除方針が示唆され、欧州圏で新型コロナ禍からの回復への動きが出始める中、リスク回避姿勢が後退。ドルが対ユーロで売り優勢となり、この動きがドル円相場にも波及し、105円割れまで円高に進みました。月末にかけては、米長期金利の上昇が続き、約1年ぶりの高水準で留まっていることや、大型追加経済対策や新型コロナ向けワクチン普及を背景とした米国景気回復への期待感が根強い中、円売りが加速。再び106円台に乗せ、一時106.40円付近まで円安に進みました。その後は、やや水準を戻し、106.20円台でこの月の取引を終えました。
今後の見通し
 新型コロナ向けワクチン普及による景気回復への期待感、米国長期金利上昇による日米金利差拡大などを意識した値動きが続くと思われます。

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