貴金属市場の動向

2022年6月

石福金属興業株式会社 管理部 資材グループ 鼻渡 総一郎

  • 金市場の動向
  • プラチナ市場の動向
  • 為替市場の動向

金市場の動向 6月の動き
金価格チャート
ドル建て金相場
 1840ドル台でスタートした金相場は、米長期金利の上昇や外国為替市場でのドル高を受けて上値の重い展開が続くも、インフレ懸念の高まりによるヘッジ需要から堅調に推移。8日には、原油価格高騰による株価の下落を眺めながら1850ドル台まで上伸した。
 しかし、欧州中央銀行(ECB)が7月の会合で約11年ぶりに利上げに踏み切る方針を示し、世界的な金融引き締めの流れが意識されると、金は一転下落する展開に。10日発表された5月の米消費者物価指数(CPI)も前年同月比で8.6%上昇と、約40年ぶりとなる高い伸びを記録すると、同月14、15日に実施されるFOMCで想定以上の利上げに踏み切るとの観測が台頭。これら要因を受けて、米長期金利は3.3%まで上昇した他、対ユーロでのドルも上昇し、14日には1810ドル台まで下落した。
 注目されていたFOMC後の声明では、1994年以来となる0.75%の利上げが発表されたが、これは前日までに形成されていた市場の思惑通りの結果となり、大きなサプライズとはならなかった。むしろ世界の主要中央銀行が相次いで利上げを決定したことで、世界経済の景気減速懸念が広がる中、リスクヘッジとして金に資金が流入。17日に1840ドル台まで値を戻すと、その後はリスクヘッジとしての金買いの動きと米長期金利上昇やドル高による金売りが錯綜する中で概ね1830~1840ドル台での値動きが続き、月末にかけてはECBラガルド総裁の積極的な利上げを示唆する発言や、5月の米個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比で6.3%上昇するなど、積極的な金融引き締めへの警戒感から、金を売る動きが優勢に。月末には1810ドル台まで値を下げてこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 FRBを始めとした積極的な金融引き締め策から相場は下落傾向にあるものの、金融引き締め策による景気後退懸念も浮上している中では下値はサポートされる展開になると予想する。

プラチナ市場の動向 6月の動き
プラチナ価格チャート
ドル建てプラチナ相場
 990ドル台でスタートしたプラチナ相場は、先月末からの原油高を眺めた買いの流れが継続、スプリング・ホリデーなどの祝日を挟んで6日には月間最高値である1029ドルまで上昇した。しかし、その後利益確定の売りに圧されると一転下落傾向に。
 9日に欧州中央銀行(ECB)が7月の次回会合で11年ぶりとなる利上げを表明、世界的な金融引き締めによる景気減速懸念からプラチナは売られ、1,000ドルを割り込むと、約40年ぶりとなる高い上昇率を記録した5月の米消費者物価指数(CPI)、や堅調な米卸売物価指数(PPI)を受け外国為替市場では対ユーロでドルが上昇する中でプラチナは続落し、14日には930ドル台まで下落した。
 その後、外国為替市場でのドルの軟化などによる買い戻しに支えられ940ドル台まで値を戻したものの長くは続かず、21日に再び940ドルを割り込むと、パウエルFRB議長の22日の上院銀行委員会、23日の下院金融サービス委員会での発言で、インフレ抑制に向けての積極的な利上げの姿勢を改めて示された事で、景気減速懸念が台頭。プラチナ価格は23日に910ドル台に、翌週27日には900ドル台まで下落した。
 月末にかけては、29日にG7で発表されたロシアからの金輸入禁止措置のパラジウムへ波及するのではとの警戒感からパラジウムが上伸したのに追随し930ドルまで値を戻すも、利確売りによるパラジウム下落に連動し、30日には再び900ドル台まで値を下げこの月の取引を終了した。
今後の見通し
 南アフリカでの電力逼迫問題、ウクライナ侵攻等を受けてのパラジウムからプラチナへの触媒材料シフトの動きなど、相場の支援材料はあるものの、世界的な景気減速懸念を前に上値が重い展開が続くと想定する。



為替市場の動向 6月の動き
ドル円為替チャート
ドル円為替相場
 128円台後半でスタートしたドル円相場は、1日に米サプライ管理協会(ISM)が発表した5月の製造業購買担当者景況指数(PMI)や、3日に発表された5月の米雇用統計の数値が市場予想を上回る内容であったことから、米長期金利が上昇。ドル買いが優勢となる中で6日に130円台後半まで上伸。同日に行われた講演では日本銀行の黒田総裁が「ゆるぎない姿勢で金融緩和を継続していく」と強調したことも、日米金利差を意識したドル買い・円売りが進むきっかけとなり、7日には約20年ぶりとなる132円台まで急伸。その後も上昇を続け、10日には注目されていた5月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、約40年ぶりとなる高い上昇率を記録すると、週明けの13日には135円まで上昇した。
 その後、14-15日に開催されるFOMCでの利上げ幅等の憶測を巡り、ドル円相場は134-135円台での荒い値動きが続いた。FOMC後の声明では0.75%の大幅利上げが発表されたが、市場には事前に織り込まれていたこともあり大きな反応には至らなかったものの、利上げの積極的な姿勢から景気減速懸念が意識され、ドルが売られる展開となり、17日には133円台まで下落した。
 以降、スイス中央銀行が約15年ぶりに利上げを決めるなど、世界各国の中央銀行が利上げを行う中で、日本銀行の金融緩和策継続が際立つ格好となり、再び上昇傾向に。20日に135円台まで値を戻すと、22日には約24年ぶりとなる136円台まで上伸。利益確定のドル売りにおされ一時134円台まで下落する場面もあったが、米株価の急落によるドルの買い戻しなどから月末には136円台半ばまで上昇し、この月の取引を終了した。
今後の見通し
 米国の積極的な利上げ姿勢は今後も継続するとの見方が強い中で、日本の金融緩和継続姿勢に変化が見られない限りは現在の円安傾向は継続するものと思われる。

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